2005 Fiscal Year Annual Research Report
分子ノックアウトによる血小板血栓予防効果:PI3キナーゼとその標的酵素の役割
Project/Area Number |
16590963
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
半田 誠 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (40129614)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 健次 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70230662)
|
Keywords | イノシトールリン脂質3キナーゼ / Bruton tyrosine kinase / 血小板 / コラーゲン / フォスフォリパーゼγ2 / LAT / 遺伝子ノックアウトマウス / 抗血小板療法 |
Research Abstract |
クラス1イノシトールリン脂質3キナーゼ(PI3K)は主に細胞内の種々の蛋白キナーゼの活性を調節することで、血小板機能に深く係わっている。wortmanninなどのPI3K阻害剤によるin vitro血小板機能抑制効果が示されていたが、本来的に特異性に問題があった。PI3K経路が抗血小板治療の標的となるか否かを追求する目的で、関連分子の遺伝子ノックアウトマウスを用いることで、この酵素が支配する伝達経路が血小板機能にどのように関与しているかを解析した。平成17年度には、血小板血栓のトリガーとして生理的に重要なコラーゲンにより惹起される血小板の細胞反応は、従来考えられたPI3K依存性経路とともに非依存性の経路を介することが強く示された。そして、両経路にBtkが律速酵素として関与し、抗血小板療法の標的としてBtkは有望な分子であることが示唆された。そこで、PI3K非依存性のBtk活性化機構の存在をより明確に示す目的で、PI3K/Btkダブルノックアウト(PI3K(-/-)/Btk(-/-))マウスのex vivo血小板機能を解析した。 その結果、1)コラーゲンもしくは関連ペプチドCRPに対する血小板凝集能、活性化反応(p-セレクチン発現、フィブリノゲン結合能)、血栓形成(接着)動態、フォスフォリパーゼ(PLC)γ2の蛋白チロシンリン酸化反応は、PI3K(-/-)/Btk(-/-)血小板において、それぞれの分子単独欠損血小板に比して、相加的に著しく低下していた。2)PI3K(-/-)血小板において、CRP刺激によりBtkは十分リン酸化を受けるとともに、コラーゲン受容体GPVIの直下に位置するLAT/Gads/SLP76アダプター複合体と共沈した。 以上から、血小板血栓のトリガーとして生理的に重要なコラーゲンにより惹起される血小板の細胞反応は、従来考えられたPI3K依存性経路とともに非依存性の経路を介することが証明された。抗血小板療法の標的としてBtkは有望な分子であることが示唆された。
|
Research Products
(3 results)