2004 Fiscal Year Annual Research Report
末梢血に存在するリンパ球前駆細胞の分裂増殖と造血微小環境に関する研究
Project/Area Number |
16590968
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
葛西 正孝 国立感染症研究所, 免疫部, 主任研究員 (10142134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 潤一郎 国立感染症研究所, 獣医科学部, 室長 (60181731)
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Keywords | 造血幹細胞 / リンパ系 / 赤芽球系 / 幼若骨髄系 / Translin / 定量的RT-PCR法 / 末梢血 |
Research Abstract |
造血幹細胞は概念的なものとして考えられていたが、その実体は単一の細胞ではなく、種々の分化段階にある細胞集団であると考えられている。しかし、その自己複製と前駆細胞への振り分けに必要な分裂機構の詳細は不明のまま残されている。我々は、Translin遺伝子欠損(TSN-KO)マウス末梢血中の白血球数が幼年期に激減していることに着目し、研究を行った。この現象はBリンパ球の減少によるもので、Tリンパ球には変化が認められなかった。また、脾臓や骨髄では変化が認められず、末梢血で最も顕著に観察される点が大きな特徴である。TSN-KOマウス末梢血中の大部分の細胞はB220^- CD43^+ IL-7R^+の表現型を示すことから、Bリンパ球の前駆細胞が未分化な状態で分裂を停止しているものと考えられる。骨髄における多能性幹細胞(HSC)は、リンパ系前駆細胞(CLP)に分化してT,B,NK細胞に振り分けられると考えられているが、同様の過程が幼年期の末梢血中でも進行していることを本研究結果は示唆している。当該年度は定量的RT-PCR法(Q-RT-PCR)を駆使してCLP細胞各分化段階におけるマーカー遺伝子の発現を詳細に検討した。その結果、Bリンパ球への分化を規定する転写因子Pax5やシグナルカスケード上流に位置するEBF遺伝子の発現が顕著に減少していた。さらにCLP細胞がBリンパ球に振り分けられる過程で最上流に位置するE2A遺伝子の発現も低下していた。一方、TSN-KO老齢マウス末梢血においても、幼若マウスと同様にCLP細胞の分化停止が認められる。さらに、骨髄における著明な造血機能障害、すなわち赤芽球系および幼若骨髄系細胞の減少が見られた。従って、Translinは広範な造血細胞の分化初期過程で機能していることを示唆している。
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Research Products
(3 results)