2004 Fiscal Year Annual Research Report
自己免疫疾患におけるB細胞表面分子RP105の欠損の重要性と治療への応用
Project/Area Number |
16590985
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
長澤 浩平 佐賀大学, 医学部, 教授 (00108721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小荒田 秀一 佐賀大学, 医学部, 助手 (50304887)
多田 芳史 佐賀大学, 医学部, 講師 (70284627)
木本 雅夫 佐賀大学, 医学部, 教授 (40153225)
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Keywords | RP105 / B細胞 / 自己免疫疾患 / SLE / 自己抗体 / アポトーシス / B細胞刺激因子 / BCMA |
Research Abstract |
ヒト正常B細胞はそのほとんどが表面にRP105分子を有しているが、自己免疫疾患のうち、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群(SS)、および皮膚筋炎(DM)など、B細胞の活性化が知られている疾患の患者末梢血では、RP105を欠損しているB細胞が有意に増加し、しかもその程度は疾患活動性と相関することを我々はすでに明らかにした。さらにその後の研究で、RP105(-)B細胞は高度に活性化されたサブセットに属し、自己抗体(特にdsDNA抗体)の産生に直接関与している可能性が高いこと、そしてステロイドによるアポトーシスを誘導されやすいことなどを証明した。このように、RP105(-)B細胞はSLEを初めとする一部自己免疫疾患の発症病理や病態形成に重要な役割を演ずることが強く示唆されるようになった。1つの明確なB細胞のサブセットとして同定されたのは初めてのことである。 最近の研究では、SSやDMの病変局所にもRP105(-)のB細胞の著明な浸潤が認められ、RP105(-)B細胞は抗体産生だけでなく、炎症の進展にも関与している可能性が示された。現在のところ、このRP105(-)B細胞の出現機構は明らかにできていない。ウイルス感染やマイトゲンなどの刺激によってもRP105(+)から(-)B細胞への転換、あるいは分化誘導には成功していない。これまでの成績からは、B細胞刺激因子であるBAFFやAPRILの関与の可能性が高いと考えているが、今後の研究の課題である。 最近の大きな成果は、SLE患者数例のRP105(-)B細胞が、B細胞刺激因子のレセプターの1つとして知られているBCMAのmRNAを特異的に高度に発現していることを見出したことである。このことは、今後の抗体の作製から治療薬の開発へつながるものとして、大いに期待されるところである。
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