2005 Fiscal Year Annual Research Report
新しい展開をみせたグランザイムBによる自己免疫疾患発症・病態形成への役割の検討
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16590986
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
井田 弘明 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (60363496)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川上 純 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90325639)
江口 勝美 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30128160)
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Keywords | グランザイムB / 自己抗体 / アポトーシス / シェーグレン症候群 / SS-B(La)蛋白 / NK細胞 / NK活性 / 悪性リンパ腫 |
Research Abstract |
グランザイムBの自己免疫疾患の病態へ及ほす影響の検討 1)グランザイムBが関与した自己抗体の検出 唾液腺細胞由来細胞株(HSG細胞)から無細胞系蛋白を抽出後、グランザイムBを添加、蛋白をゲル電気泳動し、原発性シェーグレン症候群(SS)患者血清を使用してウエスタンブロット法で自己抗体をスクリーニングした。SS患者57例中8例、悪性リンパ腫合併SS患者17例中5例にグランザイムBを添加した蛋白に対してのみ、27kDの蛋白に対して抗体が検出された。モノクローナル抗体による検索の結果、この抗体は、断片化されたSS-B(La)蛋白に対する抗体であった。レコンビナントLa蛋白を使用した吸収実験にて、断片化されたLa蛋白に対するエピトープをもつ自己抗体が存在したSS患者は、13例中4例であった。以上の結果から、グランザイムBによる唾液腺細胞のアポトーシスが自己抗体産生に関与している可能性が示唆された。 2)自己免疫疾患におけるNK細胞活性の検討 NK細胞活性は、細胞中のグランザイムBによって保たれている。関節リウマチ(RA)、およびSS患者の末梢血中NK細胞活性を検討した。RA患者11例、SS患者15例、健常者16例のNK細胞活性は、RA患者、SS患者ともに、健常者に比べて低下していた。Lytic units(LU)(20%の標的細胞を殺傷するのに必要なNK細胞数の逆数を表すもので、値が高いほどNK活性が強いことを示す)も、RA患者、SS患者ともに、健常者に比べて低かったが、NK細胞1個あたりのLUは同等であった。特に、SS患者では、アポトーシスに陥っているNK細胞の割合が、健常者に比べて多く、NK細胞のアポトーシスによる細胞数減少が、NK活性低下の一因であることがわかった。SS患者の悪性リンパ腫発生率は、健常者の約40倍と報告されており、NK活性低下との関連が示唆された。
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Research Products
(4 results)