2004 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞から分化誘導した遺伝子改変樹状細胞による免疫制御法の開発
Project/Area Number |
16590988
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
千住 覚 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (50274709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 泰治 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (10156119)
入江 厚 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (30250343)
中面 哲也 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (30343354)
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Keywords | 樹状細胞 / 免疫制御 / ES細胞 / 自己免疫疾患 / 実験的自己免疫性脳脊髄炎 / 免疫制御性T細胞 / MHC / T細胞 |
Research Abstract |
申請者らは、樹状細胞の遺伝子改変を行う方法として、マウスのES細胞において遺伝子改変を行い、これを樹状細胞へ分化誘導するという、独自の方法を開発している。本年度は、この手法の将来の免疫制御療法としての実用化に資するべく、マウスの疾患モデルを用いて、遺伝子改変樹状細胞による免疫制御療法の基礎的研究を行った。 ミエリン鞘に由来する抗原を用いてマウスを免疫することにより、EAE(実験的自己免疫性脳脊髄炎)が惹起される。遺伝子改変樹状細胞を用いて、ミエリン抗原に対する免疫応答を抑制することにより、EAEを予防することを試みた。 ミエリン抗原であるMOGペプチドをMHCクラスII分子拘束性にT細胞に提示すると同時に、TRAILあるいは、PD-L1を発現する樹状細胞を作製した。MOGエピトープを提示させるためのベクターとしては、インバリアント鎖(Ii鎖)のCLIP部分を抗原ペプチドに置換したエピトープ提示ベクターを用いた。このような樹状細胞(ES-DC)をマウスに移入することにより、EAEの発症を予防できるかどうか検討した。その結果、Ii-MOG + PD-L1発現ES-DC投与マウス群、およびIi-MOG + TRAIL発現ES-DC投与マウス群では、MOG誘導性のEAEが抑制された。さらに、Ii-MOG + TRAIL発現ES-DCを投与した群では、MOG誘導性のEAEのみでなくMBP誘導性のEAEも抑制された。一方、無関係の外来抗原であるKLHに対する免疫応答能力は、全く影響を受けなかった。Ii-MOG + TRAIL発現ES-DCを投与したマウスの脾臓T細胞を別のマウスへ移入したところ、レシピエントマウスにおいてもMOGやMBPにより誘導されるEAE発症が抑制された。 Ii-MOG + TRAIL発現Es-DCを投与した群で、MOG誘導性のみでなくMBP誘導性EAEの発症も抑制されたことは、このような遺伝子改変ES-DCの投与により、免疫応答を抑制的に制御する機能を右したT細胞を誘導できる可能性を示している。さらにT細胞移入により、この効果の移行が見られたことは、この可能性を強く支持している。
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Research Products
(12 results)