2005 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞から分化誘導した遺伝子改変樹状細胞による免疫制御法の開発
Project/Area Number |
16590988
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
千住 覚 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (50274709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 泰治 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (10156119)
入江 厚 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (30250343)
中面 哲也 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (30343354)
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Keywords | 胚性幹細胞 / 樹状細胞 / 免疫応答 / 免疫寛容 / 再生医療 / 臓器移植 / MHC / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
本年度は、遺伝子改変により機能を修飾した樹状細胞を用いた免疫制御療法の、将来の実用化を目指し、以下のような研究を行なった。 霊長類ES細胞からの遺伝子改変樹状分化誘導法の開発 マウスのシステムにおいて開発している、ES細胞を用いた遺伝子改変樹状細胞の作製法と、これを用いた免疫制御法を将来的に臨床応用するためには、ヒトのES細胞から樹状細胞を分化誘導する方法を開発することが必要となる。これまでの研究成果として、ヒトES細胞と類似した性質を有するカニクイザルのES細胞から樹状細胞を分化誘導する方法を開発している。さらに、これまでのマウスおよびカニクイザルのES細胞を用いた研究実績に基づき、熊本大学および文部科学省の倫理委員会へヒトのES細胞使用の申請を行い、承認された。平成18年2月よりヒトES細胞の培養を開始した。 移植臓器に対する拒絶反応抑制法の開発 移植医療においては、移植臓器に発現するアロ抗原に対する免疫応答を特異的に抑制する手法の開発が強く求められている。そこで、移植片と同一の遺伝的背景を有する樹状細胞に免疫応答を抑制する作用のある分子の遺伝子を導入し、移植前にレシピエントに移入することにより、アロ抗原に対する免疫応答を抑制して、移植片に対する免疫寛容を誘導する研究を行った。申請者らが現在、主に使用しているES細胞TT2は、C57BL/6とCBAマウスのF1由来である。そこで、IL-10、TGF-β、TRAILあるいはPD-L1を発現するTT2由来の樹状細胞を用いて、アロ抗原反応性T細胞の機能を抑制することにより同抗原に対するトレランスを誘導することを試みた。このような前処置を施した後に、MHC遺伝子が部分的に異なるC57BL/6あるいは完全に異なるBALB/cマウスに対してCBF1マウスからの皮膚移植を行った。しかしながら、これまでのところ、このような樹状細胞の投与により、移植片の生着を有意に延長することはできなかった。ES細胞を用いて拒絶反応を誘導しない細胞や臓器を作成するためには、ES細胞固有の遺伝的背景に由来する組織適合性抗原(MHC)クラスIの発現を抑制することが必要であると考えられる。今後は、ES細胞に遺伝子改変加えることにより、MHCクラスIの発現を抑制する手法を開発する予定である。
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Research Products
(9 results)