2005 Fiscal Year Annual Research Report
ウエスト症候群の原因遺伝子の同定とオーダーメード治療への展望
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16591007
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
加藤 光広 山形大学, 医学部, 講師 (10292434)
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Keywords | ウエスト症候群 / ARX遺伝子 / ポリアラニン / X染色体 / 精神遅滞 |
Research Abstract |
周産期障害や結節性硬化症などの明らかな原因のないウエスト症候群29例(男21:女8)を対象とし、採血後、DNAを抽出し、ARX遺伝子の5つのエクソンについて、flanking intronを含め,PCR法で増幅後,電気泳動し,遺伝子伸長例は直接塩基配列解析を,その他はDHPLCで変異スクリーニング後,異常を認めたPCR産物について塩基配列解析を行なった。その結果,ウエスト症候群の男1例で、ARX遣伝子に333_334ins(GCG)_7変異を認めた。乳児期にけいれんを認めた弟も同じ変異を有し,母はヘテロ接合の保因者であった。同変異によりARX内4カ所のポリアラニン配列のうち第1ポリアラニン配列の16個のアラニンが23個に伸長すると推測される。 今回同定した変異は既に2家系11例、および前回報告例1例の12例で報告されている。既報告全例が乳児期にてんかん発作を発症し、最重度精神遅滞を呈し、歩行不能である。8例がウエスト症候群を呈し、11例でミオクロニー発作を認めた。本例においても兄と弟で発作型は異なるが、両者とも重度の発達遅滞、上肢優位のジストニア姿勢、ミオクローヌス様の発作を認め、既報告と共通していた。一方、第2ポリアラニン配列の伸長変異は、ウエスト症候群やてんかんの併発は比較的少なく、非症候性精神遅滞またはジストニアをともなう症候性精神遅滞が多い。症例数は少なく、まだ変異の正確な頻度や表現型との詳細な関係は不明な点が多いが、第1ポリアラニン配列における7つのアラニンの伸長変異は、第2ポリアラニン配列の伸長変異に比べて,より重篤で,ジストニアやミオクロニー発作の併発など共通の表現型を示す可能性がある。 オーダーメイド治療の可能性については,変異例が少なく,今回は明らかにできなかったので,他の原因遺伝子の探索が必要である。
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Research Products
(4 results)