2004 Fiscal Year Annual Research Report
タンデム質量分析新生児マススクリーニングの対象疾患診断精度と有効性の研究
Project/Area Number |
16591015
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
重松 陽介 福井大学, 医学部, 教授 (80162593)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 郁江 福井大学, 医学部附属病院, 助手 (50251997)
|
Keywords | 新生児マススクリーニング / カルニチン / タンデム質量分析 / 先天代謝異常症 / アミノ酸 / 有機酸 / 脂肪酸酸化 / 乳幼児突然死 |
Research Abstract |
本スクリーニング研究では、1997年以来約254,300新生児の濾紙血を分析し、35名の対象疾患患児を発見した。総対象疾患頻度は1:7500であり、スクリーニング事業としては充分に意義のある頻度と判断された。 早期治療の効果としては、新生児期発症の重症型メチルマロン酸尿症患児2名とCPS欠損症患児1名は治療にもかかわらず1年以内に死亡した。新生児期発症のアルギニノコハク酸尿症患児1名と軽症型プロピオン酸血症患児1名で中等度から軽度の発達遅延を認めているが、それ以外の患児では最長7年間の観察期間で正常発達が得られている。 特に乳児期から幼児期早期に高頻度で精神運動発達障害を発症するとされているグルタル酸尿症I型の患児3例では、乳児期早期に運動発達の遅れが見られた1例において早期治療によりこれらの症状が著しく改善し、2歳時には正常化した。他の2例も障害無く経過している。この疾患の治療効果のモニターに必要な体液中の有機酸の分析方法を改良し論文発表した。 多くの脂肪酸酸化異常症患児でも、飢餓を避けることにより低血糖発作や突然死を免れている。 診断精度については、カットオフ値の設定に関し諸外国での同様のスクリーニング研究で採用されている値を検証した。本スクリーニングで当初の設定値が充分低くなかったために中鎖アシルCoA脱水素酵素欠損症の見逃し例が1例あったが、その後は見逃し例は無い。 ただし、シトリン欠損症のように、新生児期には指標値が正常範囲を逸脱しないことがある疾患については、スクリーニングが困難であった。分析方法の改良や別の指標値の検討などが必要と考えられ、次年度の検討課題とした。 スクリーニングで精密検査が必要とされた場合の診断確定法について、特にグルタル酸尿症II型の軽症例では、早期治療のために簡便な検査法を開発する必要があり、これも次年度の課題とした。
|
Research Products
(6 results)