2004 Fiscal Year Annual Research Report
小児難治性白血病における細胞傷害因子の臨床的意義の解明と臨床応用に向けた研究
Project/Area Number |
16591017
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
犬飼 岳史 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助手 (30293450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
合井 久美子 山梨大学, 医学部附属病院, 助手 (70324192)
赤羽 弘資 山梨大学, 医学部附属病院, 医員 (90377531)
廣瀬 衣子 山梨大学, 医学部附属病院, 医員
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Keywords | 同種造血幹細胞移植 / 移植片対白血病効果 / 細胞傷害因子 / Fas / TRAIL / 11q23転座型白血病 / T細胞型急性リンパ性白血病 |
Research Abstract |
白血病に対する同種造血幹細胞移植の有効性(GVL効果)は、細胞傷害T細胞に表出される細胞傷害因子を介した作用であることが明らかになってきている。このうちFasLとTRAILの抗腫瘍効果が注目されており、TRAILは単球にも発現され自家腫瘍免疫の一翼を担っている可能性も示唆されている。我々はこれまでに、Philadelphia染色体(Ph1)陽性白血病はTRAILに感受性を示す一方でFasLに耐性であり、Ph1陽性白血病に対するGVL効果には主にTRAILが関与することを明らかにしてきた。そこで本年度は臨床検体を用いて以下の点を明らかにした。 (1)11q23転座型白血病細胞株はFasLには弱い感受性を示すがTRAILには耐性であることを確認しており、本年度は4;11転座6例と11;19転座4例を含む合計12症例の臨床検体を用いて解析した。その結果、death domain有するTRAIL受容体であるDR4とDR5の発現が低くTRAIL耐性を認め、一方でFas陽性にもかかわらずFasL耐性を認めたことから、受容体レベル以降での耐性機序も示唆された。従って、TRAILおよびFasL耐性が11q23転座型白血病でGVL効果が弱いことの一因であると考えられた。 (2)T細胞型急性リンパ性白血病(T-ALL)由来の細胞株は、FasLに感受性を示す一方でTRAILに耐性傾向を示すことを確認しており、本年度はCD3陽性T-ALL 7例とCD3陰性T-ALL 10例の合計17症例の臨床検体を用いて解析した。その結果、1例を除いてFasは陽性であったが、DR4とDR5は全例で陰性であり、実際にTRAIL耐性を認めた。T-ALLは臨床的にはB前駆細胞型ALLと同種移植の治療成績に差はないとする報告があることから、T-ALLに対するGVL効果にはTRAILよりもFasLが関与している可能性が示唆された。
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