2004 Fiscal Year Annual Research Report
低出生体重児における症候性サイトメガロウイルス感染症の実態調査と予防
Project/Area Number |
16591022
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 宏 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (30303621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 昌弘 名古屋大学, 医学部付属病院, 講師 (40343206)
森島 恒雄 岡山大学, 医学部, 教授 (90157892)
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Keywords | サイトメガロウイルス / 低出生体重児 / 母乳 / Real-time PCR法 |
Research Abstract |
【目的】 近年海外より、母乳を介して低出産体重児にサイトメガロウイルス重症感染が高率に起こることが示された。母乳は低出産体重児にとって必要欠くべからざる栄養源であり、壊死性腸炎の予防にも役立っている。もし、母乳が低出産体重児に重症ウイルス感染を引きおこしているなら新生児医療において重大な問題である。そこで今回は超早産児におけるCMVの経母乳感染についての検討を行った。 【方法】 2003年4月〜2004年9月に当院とその関連施設に入院した在胎28週未満または出生体重1000g未満で,献乳を含む母乳栄養を行った児(27人)及びその母親(25人)を対象とした。ウイルス学的検討はReal-time PCR法を用い、出生時とその後2週間毎に尿、血清、母乳中のCMV-DNA量を測定した。 【結果】 児の在胎期間は26.4(23.7-32.6)週、出生体重は802(512-1108)gであった。CMV抗体陽性の母親21例(84%)中全例の母乳よりCMV-DNAが検出され、DNA量に関しては前回同様4-6週でピークに達する傾向を認めた。CMV陽性母乳を与えられた23例中、出生後血清または尿中CMV-DNA陽性となったのは1例(4.3%)で、臨床症状としてはAST,ALTの上昇を認めたのみであった。 【結論】 超早産児を対象とした検討でCMV陽性母乳よりの感染は4.3%と低値であった。CMVの感染価は凍結処理により減少する。我々の施設では母乳を凍結保存しており、海外からの報告との差異は母乳の処理方法にあると考えられた。前回同様今回の検討でも重篤な感染を起こしたものはおらず、凍結処理により臨床上問題となるCMV感染はほぼ起こらないと考えられた。
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Research Products
(3 results)