2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591029
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
前垣 義弘 鳥取大学, 医学部, 助教授 (80252849)
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Keywords | 小児脳の発達 / 神経回路網 / MRI / 拡散テンソルtractography / 脳波コヒーレンス |
Research Abstract |
本研究はヒトの発達に伴う神経回路網の形成過程を明らかにすることを目的とする。神経線維の連絡性の成熟過程を脳波二次解析から解明した。脳各部位のボリュームと白質神経線維の走行ならびに連絡性の年齢的変化をMRI画像から解析した。 脳波はデジタル脳波計を用い、標準10-20電極法で安静閉眼時に記録を行った。両耳朶連結を基準電極として全脳各部位に電極を貼付し記録する。記録した脳波をフーリエ変換し、各脳部位間の線維の連絡性を脳波コヒーレンスとしてコンピュータで計算した。後頭部α波のピーク周波数は2歳から10歳までは徐々に増加し、10歳で成人の値となった。この後頭部のピークα波のコヒーレンスの発達過程は以下の通りであった。 (1)後頭部-前頭部のコヒーレンスは、2歳から10歳までは低下傾向を示すが、以後急激に増大した。後頭部-頭頂部のコヒーレンスは、2歳から16歳まで徐々に増大する傾向を認めた。後頭部-中心部や後頭部-側頭部の年齢変化は後頭部-前頭部や後頭部-頭頂部のパターンが混在し、一定の傾向を示さなかった。 (2)後頭部とのコヒーレンスは、頭頂部が最も高いが、前頭部も高く、その中間の中心部は低い傾向をどの年齢も認めた。 (3)発達過程で最も著しい変化を認めたのは、後頭部一前頭部のコヒーレンス値であった。 以上から、後頭部と前頭部の神経線維の機能的連絡性は、10歳くらいまでは一旦減少するが、その後急激に増強することが分かった。一方、後頭葉と頭頂葉の連絡性は年齢とともに増強し、部位による発達過程の違いが明らかになった。これまでの神経生理的な発達過程は、年齢とともに成人に近づくことが一般的と考えられていたが、脳部位により種々の発達過程をとることが判明した。
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Research Products
(6 results)