2004 Fiscal Year Annual Research Report
乳児重症ミオクロニーてんかんの早期診断と病態解明に関する分子生物学的研究
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16591030
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大塚 頌子 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10213779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻野 竜也 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90335597)
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Keywords | 乳児重症ミオクロニーてんかん / SCN1A遺伝子変異 / 発熱 / ミオクローヌス |
Research Abstract |
乳児重症ミオクロニーてんかん(SME)にはてんかん性ミオクロニー発作を持つ中核群(typical SME)と非てんかん性ミオクロニアを伴う辺縁群(borderline SME)があるが、borderline SMEでは非てんかん性のミオクロニアを伴う症例が多く、両群の鑑別は困難な場合もある。今年度はtypical SME(I群)の22例とborderline SME(II群)の21例およびどちらとも決定できない13例(III群)の3群にわけて、長期経過を含む、臨床的、脳波学的検討を行った。また、3群の遺伝子解析を行い、表現型と遺伝型の関連を検討した。 研究成績:発症年齢、ミオクロニー発作以外の発作型の頻度には3群で差はなかった。痙攣性てんかん重積状態、発熱・入浴による発作の誘発はともにほぼ全例に認められた。I群では23%に光・図形による誘発発作を認めた。非てんかん性ミオクロニアはII群で81%にみられた。女児の比率はI群では73%、II群では43%、III群では54%であった。失調はI群で82%、II群で48%、III群では92%にみられ、不随意運動はI群の5%、II群の10%、III群では8%に認められた。著明な退行はI群の23%、II群の15%、III群の15%にみられ、脳症を契機に出現することもあった。死亡例はI群の15%、II群の13%、III群の38%であった。2度近親以内の痙攣の家族歴はI群で46%、II群で42%、III群で46%であった。脳波はI群では広汎性発射が優位な症例が多く、II群では焦点性発射が優位な症例が多く、それのみの症例もあった。III群ではI群とII群の中間の様相を示した。脳波上の光・図形過敏性はI群に他の2群より有意に多く認められた。 遺伝子解析ではSCN1A遺伝子の突然変異をI群で77%、II群で92%、III群で86%に認めた。遺伝子異常の種類はI群ではmissense変異が70%で最も多く、nonsense変異が20%、frameshiftが10%に認められた。II群ではframeshiftが50%で最も多く、missense変異が33%、nonsense変異が17%であった。III群ではnonsense変異が50%で最も多く、のこりはmissense変異とframeshift、欠失が各々17%であった。
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Research Products
(1 results)