2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳児重症ミオクロニーてんかんの早期診断と病態解明に関する分子生物学的研究
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16591030
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大塚 頌子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10213779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻野 竜也 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (90335597)
大守 伊織 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (20403488)
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Keywords | 乳児重症ミオクロニーてんかん / SCN1A遺伝子変異 / 発熱 / ミオクローヌス |
Research Abstract |
1)熱性けいれんおよび入浴けいれんの遺伝子解析 乳児重症ミオクロニーてんかん(SMEI)は乳児期に全身性または片側性のけいれんが頻発し、けいれんは発熱や入浴によって誘発されやすい。乳児期には脳波上てんかん発射が検出されにくいことも特徴的であり、そのため、この時期には熱性けいれんと区別しにくい。SMEIでは高率にSCN1A遺伝子の変異が認められるが、ナトリウムチャネルは熱に影響を受けやすいため、同様に乳児期から体温上昇に関連してけいれんを示す症例においても、SCN1A遺伝子変異が存在するのか否か興味が持たれる。また、SMEI以外の熱性けいれんの症例にもSCN1A遺伝子異常が存在するとすれば、どのような症例に存在するのかを検討することにより、SCN1A遺伝子変異とけいれんの発現との関連に示唆を得ることが出来る。また、乳児期に体温上昇に関連したけいれんを示すSMEI以外の症例には、SCN1A遺伝子の変異が認められないならば、まだSMEIのすべての特徴の出そろわない乳児期に、遺伝子検査によりSMEIの早期診断を行うことが出来る。 以上の仮説を検証するために、1歳未満の乳児期に発熱または入浴に関連してけいれんをおこした既往のある3歳以上の患者のなかで、SMEIでないことが明らかになり、かつけいれんの原因不明の潜因性の症例を対象に、SCN1A遺伝子変異の分析を進行中である。 2)SMEIの遺伝子解析 SMEIにはすべての臨床的、脳波学的特徴をそなえたtypical SMEIと呼ばれる症例群と、ミオクロニー発作や非定型欠神を欠くborderline SMEIと呼ばれる群がある。borderline SMEIは臨床症状にかなりの幅があり、重度の心身障害を示し、発作がきわめて難治な症例がある一方、知能障害が軽い症例、発作予後が比較的よい症例などがある。これらの比較的軽症の症例のなかにもSCN1A遺伝子変異が検出される症例がある。昨年度までの解析結果に、SMEIの臨床症状と遺伝子変異の特徴につき症例を増やして検討中である。
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Research Products
(2 results)