2006 Fiscal Year Annual Research Report
乳児重症ミオクロニーてんかんの早期診断と病態解明に関する分子生物学的研究
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16591030
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
大塚 頌子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10213779)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大守 伊織 岡山大学, 大学・医歯薬学総合研究科, 助手 (20403488)
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Keywords | 乳児重症ミオクロニーてんかん / SCN1A遺伝子変異 / 熱性けいれん / 機能解析 / SMEI / 発熱 / 遺伝子 |
Research Abstract |
乳児重症ミオクロニーてんかん(SMEI)の病態生理を明らかにし、早期診断の手がかりを得るために、(1)SMEIにおける変異遺伝子の検索と変異遺伝子イオンチャネルの機能解析、(2)乳児期発症の熱性けいれんの既往をもつ症例の臨床的・脳波学的研究、の2つの研究を行った。(1)では、SMEIにおけるSCN1A遺伝子の変異検索とその変異イオンチャネルの活性変化をパッチクランプ法により解析した。SMEIの80.5%(33/41例)において変異が検出された。イオン選択性を担う重要なポア領域を形成するS5-S6 loop領域には21.2%(7/33例)の割合で変異を検出した。パッチクランプ法による変異遺伝子の機能解析の結果、ポア領域に存在するR931C変異については電気生理学的解析により、機能喪失型変異であることが判明した。機能喪失の機序はイオン選択性の障害と推測された。(2)では、SMEIの早期診断の手がかりを得るために、乳児期発症の熱性けいれんまたは入浴時けいれんの既往を持ち、SMEIでないことが明らかになった3歳以上の50例について、臨床症状とSCN1A遺伝子変異の解析を行った。50例中熱性けいれんのみの症例が22例、熱性けいれんまたは入浴時けいれんと無熱時発作の合併26例、ローランドてんかん2例であった。SCN1A遺伝子解析の結果、50例中計6例(12%)にmissense変異を認めた。変異のあった6例はすべて熱性けいれんまたは入浴時けいれんと無熱時発作を合併していた。熱性けいれんと無熱時発作を合併する症例に限ると24%に変異が認められた。6例の共通点は、発熱時と入浴時に発作が誘発されやすい、てんかん重積状態を認める、複雑部分発作を合併する、けいれんの家族歴がある点であった。1例を除き、片側けいれんも見られた。全例発達正常であった。この中にはGEFS+に属する症例、GEFS+に近い病像を示すが、優性遺伝がはっきりしない症例などが含まれていた。発作症状にはSMEIと類似点が多かった。
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Research Products
(5 results)