2004 Fiscal Year Annual Research Report
慢性活動性EBウイルス感染症の新規治療法に関する研究
Project/Area Number |
16591036
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
脇口 宏 高知大学, 医学部, 教授 (10116519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 明彦 高知大学, 医学部, 助手 (50335931)
黒田 正幸 高知大学, 医学部, 助手 (00253005)
今井 章介 高知大学, 医学部, 教授 (60232592)
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Keywords | EBウイルス(EBV) / dominant-negative EBNA1 / EBV陽性腫瘍 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
Epstein-Barr vims(EBV)nuclear antigen 1(EBNA1)はEBVゲノムが感染腫瘍細胞内で(環状episomeとして)複製・維持されるために必須な唯一のウイルス因子である。本研究ではEBNA1変異体遺伝子(mutant(mt)EBNA1)を独自に作製し、これが野生型(wild-type,wt)EBNAlの機能阻害により、EBV感染細胞からウイルスepisomeを駆逐する分子として働くかどうかを検討し、以下の成果を得た。 1.wtEBNA1のN末端側の大半を欠如するmtEBNA1を構築、これをアデノウイルスベクターに搭載した。これを用いて、細胞からのEBV episomeの脱落がモニター可能な人為的EBV陽性変換細胞株(リンパ球系、上皮細胞系)で、作製したmtEBNA1が効率的EBV episome脱落促進に機能するdominant-negative(dn)EBNA1であることを確認した。 2.さらにこのdnEBNA1が、EBV陽性のB細胞性腫瘍(バーキットリンパ腫)に対してもウイルスゲノムを追い出し、同時にそれに伴って腫瘍細胞の悪性形質も抑制することをin vitro、in vivoで確認した。 以上の成績は、我々のdnEBNA1がEBV関連腫瘍性疾患に対して特異的に有効な新規の遺伝子治療用分子となる可能性を示している。今後は、(1)アポトーシス誘導を含めたdnEBNA1のEBV複製阻害機構の詳細を明らかにするとともに、(2)B細胞腫瘍で確認されたdnEBNA1の悪性増殖抑制効果が上皮性(上咽頭癌、胃癌)やT/NK細胞性(鼻性T/NKリンパ腫など)といった他のEBV関連腫瘍性疾患でも再現できるかどうか、(3)dnEBNA1の細胞増殖抑制効果がEBVepisome複製阻害以外のメカニズムによる可能性、などについてさらに検討して行く予定である。
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Research Products
(7 results)