2004 Fiscal Year Annual Research Report
小児がんに対する新規細胞療法の開発:樹状細胞と好中球TRAILの利用
Project/Area Number |
16591039
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松崎 彰信 九州大学, 医学部, 教授 (90238999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住江 愛子 九州大学, 大学病院, 助手 (80335968)
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Keywords | 小児がん / 樹状細胞 / 免疫療法 / TRAIL / 好中球 / 細胞療法 |
Research Abstract |
本研究では、樹状細胞または好中球によるがん免疫療法・細胞療法の可能性を検討し、従来の化学・放射線療法に抵抗性となった難治性小児悪性腫瘍に対する新たな治療法を開発することを目的とした。 1.樹状細胞療法 樹状細胞(DC)療法実施5例中、1例は42か月間寛解を維持、2例では一時的に腫瘍の増大が抑制された。4例においてDC投与後における末梢血中のCD8陽性HLA-DR陽性T細胞数、IFN-γ産生性CD8陽性T細胞数を測定したところ、抗腫瘍効果の見られた2例において両者の増加が見られ、腫瘍細胞に対する細胞傷害性T細胞が誘導されたことが示唆された。さらに、1例では合成ペプチドをパルスしたDCをIL-2存在下に患者末梢血Tリンパ球と共培養した後、患者由来の腫瘍細胞(対照)をターゲットとして細胞傷害性の有無を検討したところ、腫瘍特異的ペプチドをパルスしたDCによって感作されたT細胞は腫瘍細胞を特異的に破壊した。また、抗腫瘍効果のみられた3例では、DC投与後に末梢血中のNK細胞活性の上昇を認め、NK細胞による非特異的抗腫瘍活性がDC療法における抗腫瘍効果の一部に関与する可能性が示唆された。 2.好中球TRAILによる抗腫瘍療法 好中球をインターフェロン-γ(IFN-γ)で刺激することによりTRAILの発現が増強し、好中球の表面にTRAIL分子が発現されるとともに、培養液中へ可溶性TRAILが分泌された。また、TRAIL発現好中球は、TRAILに対して感受性を持つことが知られている白血病細胞株のJurkat細胞にアポトーシスを誘導し、この作用は抗TRAIL抗体により部分的に抑制された。即ち、好中球が従来知られた機序とは異なるメカニズムで抗腫瘍効果を持つことが明らかとなった。 以上より、樹状細胞および好中球TRAILの利用により、従来の化学・放射線療法とは異なる機序による抗腫瘍療法の実施が可能となる。
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Research Products
(4 results)