2004 Fiscal Year Annual Research Report
母乳成分(特にラクトフェリンとTGFβ)と母乳感染するレトロウイルス
Project/Area Number |
16591041
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
森内 昌子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (60322301)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森内 浩幸 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (90315234)
佐藤 浩 長崎大学, 先導生命科学研究支援センター, 教授 (50072947)
|
Keywords | TGF-β / HIV-1 / 乳腺上皮細胞 / マクロファージ / ラクトフェリン / プロモーター / HTLV-I / Tax |
Research Abstract |
TGF-βがHIV-1感染に及ぼす影響 TGF-βは標的細胞の違いによってHIV-1感染に及ぼす効果が異なることを示した。 母乳の中には主に3種類の宿主細胞が含まれ、そのうち乳腺上皮細胞(MCF-7細胞)ではTGF-βはHIV-1感染を抑制し、マクロファージでは逆に促進させ、そしてリンパ球では大きな影響を与えなかった。乳腺上皮細胞でHIV-1感染を抑制する機序の、少なくとも一部は、LTRプロモーター活性の減少により、そこにはNF-κB-binding sitesが関与していた。一方でマクロファージにおいて感染を促進する機序は、同じNF-κB-binding sitesが関与しながらも逆にLTRプロモーター活性を亢進することにあった。また乳腺上皮細胞における作用には、TGF-βによるinduced I-κB kinaseの発現抑制が関わっていることを示した。 HTLV-I Tax transactivatorがラクトフェリン遺伝子プロモーターに及ぼす影響 ラクトフェリンはHTLV-I LTRプロモーターを活性化させるが、本研究では、逆にHTLV-I Taxがラクトフェリン遺伝子プロモーターを活性化させることを示した。 多彩なTaxの作用のうちtransactivatorとしての機能は、NF-κBやCREBのような宿主細胞側の転写因子との相互作用によって起こる。Tax変異体を用いた実験で、NF-κBへの作用が不能となった変異体でもCREBへの作用が不能となった変異体でも、若干減弱したもののラクトフェリン遺伝子プロモーターを活性化した。ラクトフェリン遺伝子プロモーターの主な転写因子結合部位に変異をもたらしたレポーター実験では、NF-κB-binding sitesやAP-1 sitesがTaxの作用に影響を与えるものの、それ以外の機序による活性化が有意に作用することが示唆された。
|
Research Products
(2 results)