2005 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓で作動する組織レニン・アンジオテンシン系の血圧調節、腎組織障害における意義
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16591055
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
新村 文男 東海大学, 医学部, 講師 (30282750)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
市川 家國 東海大学, 医学部, 教授 (80317768)
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Keywords | アンジオテンシノーゲン / 組織レニン・アンジオテンシン系 / Cre loxP システム / 近位尿細管 / conditional gene targeting / アンジオテンシン受容体 |
Research Abstract |
1.尿細管特異的アンジオテンシノーゲン(Agt)遺伝子不活化マウスの解析 尿細管特異的にAgt遺伝子を不活化したマウスを、遺伝的背景を均一にし、塩分制限食下における尿量、尿中Na排泄を検討した。以前の遺伝的背景が不均一な予備実験と同様、尿細管におけるAgt不活化マウスにおいても、対照マウスと同様に尿量の減少および尿中Na排泄の低下を認めた。また、腎臓の組織学的検討では、明らかな異常を指摘し得なかった。 2.尿細管特異的AT1遺伝子不活化マウスの解析 同様に、遺伝的背景を均一にしたマウスを用いて、塩分制限下における尿量、尿中Na排泄などを検討した。以前の予備実験と同様、尿細管特異的AT1遺伝子不活化マウスにおいても対照群と同等の尿量の低下、尿中Na排泄の低下を認めた。血圧、体重減少も同等であった。 3.肝臓特異的Agt遺伝子不活化マウスの作製と解析 当初の期待に反して腎臓におけるAgt不活化マウスでは塩分制限下における塩分・水分の保持能力は十分に保たれていた。すなわち血中Agtの濃度がより重要であることが示唆されたため、この点をより明確にする目的で、肝臓特異的なAgt遺伝子不活化マウスを作製し、塩分制限を行った。そのマウスは血中Agtの濃度は感度以下となり、低血圧、多尿を呈した。塩分制限下でも多尿傾向が持続し、尿中Na/K比が対照群と比較して高値であり、水分・塩分の保持能力が劣っていることが示された。また、腎臓の組織学的検討では、傍糸球体装置の過形成、輸入細動脈壁の肥厚などがみられ、これはAgt欠損マウスで見られた所見と比較して軽度であるが、質的には一致していた。 以上の結果から、水分・塩分の保持には肝臓由来のAgtがより重要であり、腎臓由来のAgtの役割は限定的であることが示唆された。
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Research Products
(1 results)