2005 Fiscal Year Annual Research Report
交感神経の血管トーヌス血管再構築におよぼす効果と除神経による影響
Project/Area Number |
16591060
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
小川 俊一 日本医科大学, 医学部, 教授 (50194436)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝部 康弘 日本医科大学, 医学部, 助教授 (20246523)
深澤 隆治 日本医科大学, 医学部, 講師 (80277566)
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Keywords | 血管平滑筋細胞 / 血管内皮細胞 / 血管トーヌス / 血管再構築 / 交感神経 |
Research Abstract |
平成16年度に引き続き交感神経と血管平滑筋細胞との共同培養を試みた。交感神経節より成長したアクソンと血管平滑筋細胞との間に神経・筋接合が認められ、共同培養は一応完成した。しかし、限りなく単離した形で交感神経支配された血管平滑筋細胞を作製することが出来ず、微小電気生理学的検討はあきらめざるを得なかった。次に、交感神経節と血管内皮細胞の共同培養を行った。培養した血管内皮細胞に交換神経節を加え、共同培養を行ったが、交換神経節よりアクソンが延び、一応血管内皮細胞に接着している状態の共同培養が得られた。血管内皮細胞単独、交感神経との共同培養細胞、交感神経を除神経した後の血管内皮細胞の3系統の細胞群を用いて、血管内皮細胞由来の血管作動性物質、サイトカイン、増殖因子、および接着因子の発現をTaqMan PCRにより定量PCRを行い、遺伝子発現を定量した。その結果、交感神経支配された血管内皮細胞(約10%がinnervateされている)では、血管内皮細胞単独、交感神経の除神経された血管内皮細胞に比し、血管内皮作動性物質ではアンギオテンシンII、アドレノメジュリンが、増殖因子ではPDGF、TGF-βが、また、接着因子ではVCAM-1,ICAM-1の有意な上昇が認められた。一方、サイトカインには有意な変動が認められなかった。なお、血管内皮細胞単独、および除神経された血管内皮細胞ではいずれの因子とも、2群間に有意な差異は認められなかった。以上より、交感神経の血管内皮細胞への直接な神経支配により、血管作動性物質、接着因子、増殖因子の発現が増加し、それらがオートクリン、パラクリンとして血管内皮細胞や血管平滑筋細胞に影響を及ぼし、血管トーヌス、血管再構築に関与していることが示唆された。今後は、この系に関与する転写因子の解明を行う予定である。
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