2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児の言語発達の遅れとテレビ長時間視聴との因果関係の究明
Project/Area Number |
16591070
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
谷村 雅子 国立成育医療センター(研究所), 成育社会医学研究部, 部長 (90014191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮尾 益知 国立成育医療センター(研究所), こころの診療部, 発達心理科医長 (70120061)
大熊 加奈子 国立成育医療センター(研究所), 成育社会医学研究部, 流動研究員 (00399487)
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Keywords | テレビ視聴 / 乳幼児 / 言語発達 / ビデオソフト / 長時間視聴 |
Research Abstract |
1歳6ヵ月児1900名の発達とテレビ視聴・養育環境に関する質問紙調査で示唆された有意語出現の遅れとテレビ長時間視聴との関連性の因果関係の究明のため、言語発達と視聴内容との関連性の検討を目的として、上記調査に記載された児の好みのビデオソフト109本中104本を収集し、成人2名が視聴して映像、音声、内容などの属性を判定し、児の好みのビデオソフトが各属性を有する率を、視聴時間の長短別に、有意語出現群と未出現群の2群間で比較した。 有意語未出現群の方が、画面変化が多いもの(短時間視聴群の有意語出現群20.4%、未出現群28.3%;長時間視聴群では32.5%、42.9%)、大人が音を消しても見続けられるもの(39.3%、45.5%;41.1%、57.9%)を好む率が高かった。一方、有意語出現群の方が登場人物が視聴者の方を向く場面が多いもの(61.9%、50.0%;56.7%、47.4%)、視聴者の方を向き更に話しかけがあるもの(出現群69.5%、未出現群65.2%;58.9%、47.4%)を好む率が高かった。映像・音声や登場人物の主観的印象については差が見られず、明るく楽しいものが殆どであった。 有意語未出現児は、視聴者への働きかけが少なく且つ映像変化が多く見続け易いビデオを多く見ていることが示唆された。行動観察によると視聴時の児の感情表出、同調行動や指差しなどの反応行動は画面から視聴者への働きかけがある場面で生起し易いこと、それらの児の反応行動を契機として親子のコミュニケーションが促されること、上記調査で有意語未出現児は視聴時の反応行動が少ないことを考え合わせると、視聴内容も視聴時の親子のコミュニケーションの減少や長時間視聴化に影響し、乳幼児の言語発達の遅れを引き起こす危険性が考えられる。
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Research Products
(11 results)