2004 Fiscal Year Annual Research Report
心血管系力学的機能解析と脳血流計測による胎児白質傷害発生メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
16591073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上妻 志郎 東京大学, 医学部附属病院, 助教授 (10272569)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 知行 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (40209010)
亀井 良政 東京大学, 医学部附属病院, 助手 (00251265)
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Keywords | 心機能 / 胎児 / コンダクタンスカテーテル |
Research Abstract |
本年度は胎児に対する負荷として大量輸血に注目し、ヒツジ胎仔の左心室内にコンダクタンスカテーテルを留置することにより、大量輸血が胎児の心機能に及ぼす影響について検討した。 胎齢135日のヒツジ胎仔5頭を対象とし、ハロセン麻酔下に帝王切開し胎児の上半身を子宮外に露出させた状態で、頚動脈より左心室腔にコンダクタンスカテーテルおよび圧トランスジューサを先端が心尖部にくるように、超音波で調節しながら挿入した。採血用に右腋窩動脈に、輸血用に右頚静脈にそれぞれカテーテルを挿入した。麻酔をハロセンからケタミンに切り替え状態が安定したところで、インヒュージョンポンプを用いて20分間に200mlの血液を輸血し、左心室の圧容量曲線を連続的に記録した。輸血によりヘモグロビン値は有意に増加したが、血液ガス所見には有意な変化は見られなかった。左室の拡張末期圧は上昇するのに対し、拡張末期容量は有意に減少した。 下大静脈からの同様な輸血では、左室の拡張末期容量は有意に増加することが報告されている。本実験では上大静脈からの輸血を行い、逆の結果が得られた。胎児心臓では輸血のルートにより左心室に及ぼす影響が異なることが明らかとなった。(1)胎児では下大静脈の血行は主として、卵円孔を通って左室に向かうのに対し、上大静脈の血行は主として右室に向かうこと、(2)胎児には心臓周囲の組織のコンプライアンスが低く拡張しにくいこと、(3)心室中隔は左右の心室が共有しているため、その位置の変化により両心室は互いに影響を及ぼすこと、などが関与しているものと思われた。
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