2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトFactorXIIIa陽性樹状細胞を用いた初期カポジ肉腫モデルの確立
Project/Area Number |
16591086
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
出口 雅敏 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (50333787)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相場 節也 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80159269)
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Keywords | 真皮樹状細胞 / Factor XIIIa真皮樹状細胞 / カポジ肉腫 / 皮膚線維腫 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度の本研究で皮膚から分離した細胞株CMDC-1の樹立を承けてその生物学的特性を解析した。同系マウス由来の線維芽細胞株BALB 3T3と対として実施したDNA microarrayの結果は、その遺伝子発現パターンからCMDC-1は線維芽細胞とは異なることが判明した。CMDC-1が構成的に3T3の10倍以上の量で発現し、かつ3T3の発現量が有意でない遺伝子は96項目あり、この中には細胞表面マーカーCD59a, CD97,CD24aなどが含まれた。GM-CSFやIL-4のreceptorのメッセンジャーRNAの発現は陽性だったが、Factor XIIIaの有意なメッセージは認められなかった。またCMDC-1のflow cytometryによる解析では、このものは培地牛胎児血清以外の刺激因子なしにclass II, CD80,CD68を発現し、一方CD45,CD86は陰性であった。更に免疫染色では、CD11b, CD31,CD34,CD106,MECA32などが陰性であった。以上のデータや細胞形態からは、CMDC-1が間葉系由来でかつ樹状細膳の性格を持つことを示唆しているが、このようなphenotypeをもつ細胞は従来報告されていない。このことは、皮膚組織での間葉系由来の樹状細胞の存在と同時に、現在まで知られている樹状細胞のin vitroのものとは異なるin vivoでの分化経路の存在をも示唆するものである。また、CMDC-1はfactor XIIIa分子を構成的には発現していないがGM-CSFやIL-4存在下にfactor XIIIa陽性樹状細胞などに分化する可能性がある。本研究においては、多義的で従来解釈が困難であったカポジ肉腫病変構成細胞のphenotypeを説明し、同時に真皮樹状細胞の発生起源と分化の様態についての新知見に発展する可能性をも持つデータを得ることができた。
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