2006 Fiscal Year Annual Research Report
I型インターフェロンによるランゲルハンス細胞の機能制御とその意義の解明
Project/Area Number |
16591088
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Research Institution | Clinical Research Center for Allergy and Rheumatology, National Hospital Organization, Sagamihara National Hospital |
Principal Investigator |
朝比奈 昭彦 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), アレルギー性疾患研究部, 研究員 (50202601)
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Keywords | I型インターフェロン / ランゲルハンス細胞 / 樹状細胞 / ビタミンD3 |
Research Abstract |
研究と臨床との接点を探る上で、慢性の炎症性皮膚疾患である乾癬の発症にTypeI IFNが関わるとする最新の研究結果に注目した。乾癬の病態には活性化されたT細胞と、そのT細胞を活性化する樹状細胞あるいはランゲルハンス細胞の役割が大きいと考えられている。また、乾癬の有効な治療法としてビタミンD3外用剤が知られる。こうした背景から、ビタミンD3がランゲルハンス細胞に及ぼす修飾作用を検討し、TypeI IFNと比較することで、両者の相互作用と病態への関与を考察した。ランゲルハンス細胞については、BALB/cマウスの皮膚から、I-A抗原に対する抗体を利用したpaning法によって高い純度で単離した。その結果、ビタミンD3は、CD40,CD80,CD86といった共刺激分子の発現を抑制した。ケモカインについては、Th2 typeのCCL-17,22は抑制し、Th1 typeのCXCL-10,11は促進、炎症性ケモカインであるCCL-3,4,5も促進させた。これらの修飾は、TypeI IFNによる修飾と同一であった。他方、サイトカンの産生に対する影響を見ると、ビタミンD3はIL-6および1L-12p40を促進させ、TypeI IFNとは正反対の作用となった。ビタミンD3による、IL-10の産生抑制作用も、TypeI IFNがその産生に影響を及ぼさないのとは対照的である。さて、乾癬はTh1優位の疾患であるが、こうした実験結果は、乾癬の発症にTypeI IFNが関わることや、ビタミンD3が治療に有効であることを合理的に説明できない。我々や、別の研究者らの報告から、TypeI IFNによっても、ビタミンD3によっても、ランゲルハンス細胞以外の骨髄樹状細胞ではその機能の修飾のあり方がランゲルハンス細胞とは異なることがわかっており、今回の結果も同様である。皮膚にはランゲルハンス細胞以外にも真皮樹状細胞が多数存在し、乾癬の病態に重要なのは、ランゲルハンス細胞ではなく、むしろ真皮樹状細胞ではないかと考えられた。なお、IFN-betaを注射し皮膚潰瘍を生じた患者の皮膚を検討したが、ランゲルハンス細胞の同定が困難な状況であった。
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Research Products
(1 results)