2004 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚増殖性疾患において発現低下するT型カドヘリン分子による増殖抑制機構の解析
Project/Area Number |
16591097
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松吉 徳久 京都大学, 医学研究科, 講師 (10263071)
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Keywords | T型カドヘリン / 遺伝子導入 / 増殖抑制 / 扁平上皮癌細胞株 |
Research Abstract |
T型カドヘリンは5個の細胞外領域を有するクラシカル・カドヘリンの一員であるが,膜貫通領域及び細胞外領域を欠如しており,GPI-アンカーを介して細胞膜と結合する.クラシカル・カドヘリンの細胞間接着には細胞質領域が重要であるため,細胞質領域を欠くT型カドヘリンの細胞間接着能は弱いものと考えられる.我々はこれまでに表皮基底層においてT型カドヘリンが発現し,尋常性乾癬患者の病変部や有棘細胞癌ではT型カドヘリンの発現量が減少していることを報告した.これらの結果よりT型カドヘリンはケラチノサイトの増殖に関与することが推測されるが,ケラチノサイトにおけるT型カドヘリンの役割については現在のところ十分明らかにされていない.そこで本研究では,T型カドヘリンの減少とケラチノサイトの増殖亢進との関係を明らかにする目的で,ケラチノサイトにおけるT型カドヘリンの機能について遺伝子導入の手法を用いて検討した.最初に免疫ブロット法によるT型カドヘリン検出の目的で,ヒトT型カドヘリンに対するモノクローナル抗体を作成した.次にヒト扁平上皮癌細胞にヒトT型カドヘリンcDNAを組み込んだpIRES neo発現ベクターを遺伝子導入し,先のモノクローナル抗体を用いたスクリーニングを行い,T型カドヘリン遺伝子導入株を得た.このT型カドヘリン遺伝子導入株の細胞増殖能を導入していない細胞と比較したところ,T型カドヘリン遺伝子導入株の明らかな増殖能低下が観察され,T型カドヘリンはケラチノサイトの細胞増殖を抑制的に調節することが示された.
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Research Products
(1 results)