2006 Fiscal Year Annual Research Report
難治性アレルギー皮膚疾患における免疫調節機構の解明と免疫療法の開発研究
Project/Area Number |
16591108
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
池沢 善郎 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (90046128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 芳裕 横浜市立大学, 医学部, 助手 (80381507)
中澤 正年 横浜市立大学, 医学部, 準教授 (20217699)
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Keywords | アトピー性皮膚炎(AD) / AD自然発症モデルマウス / 環境ホルモン・トリブチル錫 / 亜鉛欠乏食 / 神経成長因子 / セマフォリン / 調節T細胞 / サプリメント療法 |
Research Abstract |
私達は、粘着セロテープで非観血的に採取した角層蛋白質中のnerve growth factor(NGF)がアトピー性皮膚炎(atopic der4matitis; AD)の皮膚症状や末梢血好酸球数及び客観的に評価しにくい痒みの程度にも相関し、抗アレルギー薬の治療効果の指標となることを明らかにした(投稿中)。 同様に採取した角層蛋白質の分析により皮膚の加齢度やADの症状を検出できる数十種類のバイオマーカーを見出し、AD患者の皮膚機能を迅速・簡便に診断する新規システムの開発研究の基盤が整備された(投稿準備中)。 さらに、ADの痒みが強い活動性病変においては真皮上層から表皮内に顕著に神経線維が伸張しているが、これを抑えるとされる反発性神経軸索ガイダンス分子semaphorinの実験的AD様皮膚炎に及ぼす効果を検討し、その抑制効果を発見した(特許申請中、投稿準備中)。 マウスを用いてハプテンの経口投与による接触過敏症のトレランス誘導効果とそれに対するcyclophosphamide(Cy)の破綻誘導効果を耳翼腫脹とリンパ球増殖反応を指標として確認し、その免疫抑制と免疫増強にリンクしてCD25+CD4+調節T細胞やFoxP3+CD25+T細胞の比率が増減することを認めた。現在、その臨床応用が検討されている。 環境ホルモンとして知られるトリブチル錫(TBT)の曝露やCy投与がADのモデルマウスにおいて自然免疫系のNK細胞やNKT細胞、またCD25+CD4+調節T細胞の比率を有意に減少させて、血清IgE値の上昇や皮表の黄色ブドウ球菌叢を増やし、AD様皮膚炎の発症・遷延化を促進した。さらに、必須微量元素の亜鉛の欠乏食も、同じモデルマウスで同様に血清IgE値の上昇や皮表黄色ブドウ球菌叢の増加を伴ってAD様皮膚炎の発症・遷延化を促進した。現在、サプリメントとしての亜鉛の補充がTBT曝露やCy投与によるAD様皮膚炎の発症・遷延化に対してどのような効果をもたらすかの研究が検討されている。
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Research Products
(6 results)