2005 Fiscal Year Annual Research Report
トリブチル錫暴露マウスを用いた内分泌撹乱物質のアレルギー疾患に及ぼす影響について
Project/Area Number |
16591109
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Research Institution | Yokohama city university, School of Medicine |
Principal Investigator |
高橋 一夫 横浜市立大学, 医学部, 準教授 (40264618)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 琢磨 三重大学, 医学部, 助手 (60224515)
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Keywords | トリブチル錫 / Th1 / Th2バランス / 内分泌撹乱物質 |
Research Abstract |
一般にアレルギー疾患は遺伝因子と環境因子が複雑に絡んで発症すると考えられている。昨今のアレルギー疾患の増加には環境要因の変化が重要と思われる。環境要因は多岐に及ぶが、我々はこれまで化学物質が身のまわりに増加したことがアレルギー疾患を増やしていると考え研究してきた。今回はトリブチル錫(TBT)をマウスに経口摂取させ、経口免疫寛容成立への影響や経口免疫寛容成立後の喘息モデルへの影響を検討した。 【方法】(1)C57BL/6マウスにTBTの配合飼料を摂取させた後、小腸パイエル板(PP)、腸間膜リンパ節(MLN)での免疫細胞の構成比率と細胞数を解析した。(2)ConA刺激後のサイトカイン産生能をELISAで測定した。(3)TBT暴露がOVAに対する経口免疫寛容を破綻させるか検討した。(4)経口免疫寛容成立後の喘息誘発モデルを用いて血清中のOVA特異的IgG1,IgG2a抗体、気管支肺胞洗浄(BAL)中の総細胞数、好酸球数を測定した。 【結果】TBT経口摂取により、免疫担当細胞の細胞数が有意に低下した。しかし、各細胞比率はTBT非摂取群との間に差は認められなかった。PPあるいはMLN由来細胞の培養上清中のIFN-γ,IL-10量はコントロール群に比べ低下していた。抗原特異的経口免疫寛容の誘導により抑制されていたOVA特異的IgG1抗体価は、TBT摂取により上昇した。OVAによる経口トレランスを誘導した群でTBT摂取群はコントロール群に比べ、脾臓由来細胞の培養上清中のIL-4量は上昇していた。また、抗原特異的経口免疫寛容の誘導により抑制されていたOVA特異的IgG2a抗体価は、TBT摂取により上昇し、BAL中総細胞数は曝露群で増加する傾向がみられた。 【考察】TBT経口摂取は、腸管での免疫応答を抑制し、部分的な経口免疫寛容の破綻を来たし、同時にIL-4の産生増加、喘息病変の悪化に関与することが考えられる。昨今のアレルギー疾患の増加、重症化にはTBTをはじめとした化学物質曝露が一因となっていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)