2004 Fiscal Year Annual Research Report
マウス神経冠由来培養細胞を用いたメラノサイトの分化及び遊走能におけるBMPの役割
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16591121
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Research Institution | St. Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
川上 民裕 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (20297659)
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Keywords | 神経冠細胞(neural crest cells) / メラノサイト / BMP / Kit / Kitl伝達系 / マウス神経冠培養系 / noggin / メラノブラスト / 悪性黒色腫 |
Research Abstract |
我々はメラノサイトの発生由来とされるマウス神経冠細胞(neural crest cells, NCC)を培養系として使用し、このNCCからNCCmelb4(NCC由来メラノサイト前駆細胞株)、NCCmelan5(NCC由来成熟メラノサイト細胞株)そしてより未熟なNCCmelb4M5(NCC由来未熟メラノサイト細胞株)を樹立した。特にNCCmelb4M5は未熟メラノサイトが遊走能を獲得した直後の段階における細胞株と推測され、メラノサイトの分化のみならず、メラノサイトが癌化して生じるとされる悪性黒色腫の発症メカニズムを解明する上で極めて興味深い。Kit/Kitlシグナルはメラノサイト前駆細胞が皮膚へ遊走するある一定の必須時期である。一方、BMPは初期発生に始まりその後のほとんど全ての器官形成に関与する。様々なアンタゴニストにより制御され、特に細胞外ではnoggin, chordin, follistatinにより受容体への結合が阻害される。細胞内においては転写因子Smad群を介してそのシグナルが伝わる。 NCCmelb4M5、NCCmelb4、NCCmelan5細胞株におけるBMPレセプターの発現は、Western blotと免疫染色により3系統の細胞株全てで認められた。NCCmelb4M5細胞の培養液中に、様々な濃度のBMP-4を添加し、増殖能の変化をみると、無添加に比べ10ng/mlの濃度で有意にNCCmelb4M5細胞の増殖能が落ち、以降濃度を増加する程、低下した。一方、NCCmelb4、NCCmelan5細胞ではBMP-4を添加しても、同様の抑制は認められず、BMP-4の細胞増殖能に対する影響はない。従って、NCCmelb4M5細胞のみがBMP-4の添加によって、細胞増殖能の抑制を受けた。このBMP-4添加の影響が、細胞外でBMPのアンタゴニストとして作用するnogginで変化するか否かを検討した。BMP-4とnogginを添加したところ、BMP-4 10ng/mlの添加下では、NCCmelb4M5細胞の増殖能が抑制を受けたが、大量のnogginを同時に加えた条件下ではBMP4の作用は相殺された。これらの結果より、BMPはメラノサイト発生最初期の段階で、メラノブラストに細胞外より影響を及ぼしていると推測された。
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Research Products
(7 results)