2004 Fiscal Year Annual Research Report
反復性経頭蓋磁気刺激のうつ病治療に対する有用性と作用機序についての研究
Project/Area Number |
16591124
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
本橋 伸高 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30166342)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新垣 浩 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (40334437)
寺田 倫 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50361712)
竹内 崇 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (70345289)
須原 哲也 放射線医学総合研究所, 重粒子医科学研究センター, 室長(特別上席研究員) (90216490)
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Keywords | 反復性磁気刺激療法 / うつ病 / ドーパミン / PET / ^<11>C-raclopride |
Research Abstract |
反復性磁気刺激療法(rTMS)のうつ病治療に対する有用性と作用機序について検討した。今年度は8名のうつ病患者の協力を得た。対象はいずれも、薬物療法に反応を示さず、うつ病のエピソードが半年以上続いている治療抵抗例であった。うつ病の重症度については、ハミルトンうつ病評価尺度(HRSD)とベック自記式うつ病評価尺度(BDI)を用い、認知機能については、Mini-Mental State Examination (MMSE)などの神経心理学的検査を用いて評価した。刺激部位は左背外側前頭前野とし、1回のセッションでmotor thresholdの100%の刺激50発を刺激間隔30秒で20回、計1000発与えた。セッションは1日1回週5日とし、合計で10回行った。また、作用機序として線条体のドーパミン放出を検討するために、磁気刺激施行前後に^<11>C-racloprideの結合能をpositron emission tomography (PET)により測定した。rTMS治療によりHRSD得点は18±3〔14〜21〕点から10±6〔3〜22〕点に減少し、BDIは20±6〔15〜32〕点から13±8点〔2〜22〕点に減少した。HRSDが50%以上低下した反応例は4例であった。治療前後で神経心理学的検査結果の変化は認めなかった。尾状核と淡蒼球の^<11>C-racloprideの結合能はrTMS治療により変化を示さなかった。以上より、rTMSは治療抵抗性うつ病の治療に有用であることが示された。^<11>C-racloprideの結合能に変化がなかったことについては、これまで健康成人や動物実験で報告されたrTMS急性効果による^<11>C-racloprideの結合能の低下と異なるが、これは、ドーパミンの放出が一過性である可能性、うつ病患者ではドーパミン放出が低下している可能性が考えられる。
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