2005 Fiscal Year Annual Research Report
非定型抗精神病薬による統合失調症のワーキングメモリー及び社会機能改善のメカニズム
Project/Area Number |
16591126
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
住吉 太幹 富山大学, 附属病院, 講師 (80286062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 三枝 富山大学, 医学部, 助教授 (70209485)
川崎 康弘 富山大学, 附属病院, 講師 (80242519)
倉知 正佳 富山大学, 医学部, 教授 (80019603)
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Keywords | 非定型抗精神病薬 / 統合失調症 / 認知機能 / 記憶の体制化 / クオリティー・オブ・ライフ / セロトニン |
Research Abstract |
1.セロトニン5-HT1A受容体への高い親和性を有する、非定型抗精神病薬ペロスピロンの統合失調症患者における記憶の体制化(memory organization)に対する効果を検討した。その結果、ペロスピロンへの切替えが行われた患者において、12週後のAuditory Verbal Learning Test(単語記憶課題)により測定される記憶の体制化が改善され、されに陰性症状ならびに錐体外路性の副作用の軽減も認められた。 2.セロトニン5-HT1A受容体への高い親和性を有する非定型抗精神病薬ジプラシドンならびに、同受容体への親和性の低い非定型抗精神病薬オランザピンの統合失調症患者における記憶の体制化に対する効果を検討した。方法として、語流暢性課題のひとつであるカテゴリー流暢性課題より得られる動物名から、多次元尺度法(Multidimensional Scaling, MDS)法により、長期意味記憶の体制化の度合いをcognitive mapへ変換することにより可視化し、各薬物による治療への切替えによる変化を検討した。さらに、産出される動物名のクラスター分析も合わせて行った。結果として、各薬物による治療前には、MDS法、クラスター分析いずれの解析においても、動物名の産出される順番に意味的なまとまりは認められなかった。一方、いずれの薬物においても6週間投与後には、「野生性vs.家畜性」という意味的なまとまりが出現することが確認された。さらに、これらの認知機能の改善に伴い、対象とした患者のQuality of Life Scaleにより測定される生活の質が、有意に改善されることが見出された。 3.第8回世界生物学的精神医学会(WFSBP)において、シンポジウム"Neuropsychology in Schizophrenia and Medication Effects"を企画し、口演ならびに司会を行った。
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Research Products
(4 results)