2004 Fiscal Year Annual Research Report
抗精神病薬による耐糖能異常発症メカニズムの脳代謝機能イメージング-ポジトロン標識化合物と新鮮脳切片を用いた統合的研究-
Project/Area Number |
16591127
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
村田 哲人 福井大学, 医学部, 助教授 (80200294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤林 康久 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50165411)
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Keywords | 脳スライス / ポジトロン標識化合物 / グルコース代謝 / 抗精神病薬 / 耐糖能異常 / 脳機能イメージング / 解糖系 / 膜透過性 |
Research Abstract |
平成16年度は、dynamic positron autoradiography technique(dPAT)に[^<18>F]FDGを適用することで、ラット新鮮脳切片内のグルコース代謝を経時的な2次元画像情報として描出し、抗精神病薬による脳内グルコース代謝や膜への影響について検討した。その結果、30μMから100μMの比較的低濃度のchlorpromazine(代表的な定型抗精神病薬である)を投与した場合、解糖系の亢進が生じたが、300μM以上の比較的高濃度のchlorpromazineを投与した場合、FDG-6-phosphateが細胞外へ流出した。FDG-6-phosphateはグルコーストランスポーターを通過できないので、この流出は細胞膜の透過性が亢進して、細胞膜に小孔が形成されたことを示唆する所見であると推察された。さらにchlorpromazine投与による細胞外のlactate dehydrogenase(LDH)活性の変化を測定した結果、chlorpromazine投与によるLDHの細胞外への流出時期(致死的な細胞障害の指標である)は、FDG-6-phosphateの細胞外への流出時期に比べて明らかに遅いことが示された。平成17年度以降は、今年度の知見を踏まえ、dPATと分子的アプローチを駆使したさらなる統合的な研究を進め、抗精神病薬による耐糖能異常の発症メカニズムを深く掘り下げていく予定である。
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