2006 Fiscal Year Annual Research Report
抗精神病薬による耐糖能異常発症メカニズムの脳代謝機能イメージング
Project/Area Number |
16591127
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
村田 哲人 福井大学, 医学部, 助教授 (80200294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤林 康久 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50165411)
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Keywords | 脳スライス / ポジトロン / グルコース代謝 / 抗精神病薬 / 耐糖能異常 |
Research Abstract |
平成18年度の研究では、様々な抗精神薬による細胞膜への影響を経時的に調べるため、dynamic positron autoradiography technique (dPAT)を用いてラット新鮮脳切片のFDG集積を評価した。そして、ラットの脳組織において抗精神薬により誘導される細胞膜の透過性の変化と細胞膜の流動性の変化との関連を調べた。膜透過性の評価は、dPATにFDGを適用し、ラット脳切片からのFDG-6-phosphateの流出を評価することにより行った。膜流動性の測定は、蛍光プローブであるdiphenylhexatriene (DPH)を用いた蛍光異方度(anisotropy;膜流動性とは逆の関係にある)の測定により行った。向精神薬としてchlorpromazine、haloperidol、risperidoneおよびsulpiride(10μMから1mMまで)の投与を行った。dPATの結果、100μM以上のchlorpromazineを投与した場合、FDG-6-phosphateが細胞外へ流出した。蛍光異方度の測定の結果、100μM以上のchlorpromazineを投与した場合、蛍光異方度が低下した(すなわち膜流動性が増加した)。Haloperidolとrisperidoneでは、1mM投与した場合のみ、FDG-6-phosphateの細胞外への流出と蛍光異方度の低下(すなわち膜流動性の増加)がみられた。Sulpirideでは、調べた全ての投与量についてFDG-6-phosphateの細胞外への流出と蛍光異方度の低下がみられなかった。以上より、向精神薬による膜透過性の亢進に連動して膜流動性の増加がみられ、向精神薬による膜の流動化が膜透過性の亢進のメカニズムに関与していると考えられた。
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