2007 Fiscal Year Annual Research Report
抗精神病薬による耐糖能異常発症メカニズムの脳代謝機能イメージング
Project/Area Number |
16591127
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
村田 哲人 University of Fukui, 医学部, 准教授 (80200294)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤林 康久 福井大学, 高エネルギー医学研究センター, 教授 (50165411)
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Keywords | 脳スライス / ポジトロン / グルコース代謝 / 抗精神病薬 / 耐糖能異常 / 神経毒性 / 膜の流動性 / 膜の透過性 |
Research Abstract |
平成19年度の研究では、様々な抗精神薬による脳内グルコース代謝と細胞膜への影響を経時的に調べるため、dynamic positron autoradiography technique(dPAT)を用いてラット新鮮脳切片のFDG集積を評価した。そして、ラットの脳組織において抗精神薬により誘導される細胞膜の透過性の変化と細胞膜の流動性の変化との関連を調べた。膜透過性の評価は、dPATにFDGを適用し、ラット脳切片からのFDG-6-phosphateの流出を評価することにより行った。膜流動性の測定は、蛍光プローブであるdiphenylhexatriene(DPH)を用いた蛍光異方度(anisotropy;膜流動性とは逆の関係にある)の測定により行った。抗精神薬としてchlorpromazine、 haloperidol、 risperidoneおよびsulpiride(10μMから1mMまで)の投与を行った。dPATの結果、100μM以上のchlorpromazineを投与した場合、FDG-6-phosphateが細胞外へ流出した。蛍光異方度の測定の結果、100μM以上のchlorpromazineを投与した場合、蛍光異方度が低下した(すなわち膜流動性が増加した)。Haloperidolとrisperidoneでは、1mM投与した場合のみ、FDG-6-phosphateの細胞外への流出と蛍光異方度の低下(すなわち膜流動性の増加)がみられた。Sulpirideでは、調べた全ての投与量についてFDG-6-phosphateの細胞外への流出と蛍光異方度の低下がみられなかった。以上より、本研究で示された抗精神薬による脳内グルコース代謝と膜透過性亢進および膜流動性増加は、抗精神薬による細胞毒性や副作用さらには薬理学的作用機序に関与している可能性が示唆された。
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