2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリアの活性化と神経細胞死におけるFc受容体の役割
Project/Area Number |
16591140
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡本 基 岡山大学, 医学部, 教授 (80144757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 哲也 岡山大学, 医学部, 助教授 (90221754)
臼井 真一 岡山大学, 医学部, 助手 (50346417)
佐藤 妃映 岡山大学, 医学部, 助手 (70362960)
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Keywords | 興奮性神経細胞死 / マウス / カイニン酸 / 海馬 / 錐体細胞死 / Fc受容体欠損マウス / ミクログリア |
Research Abstract |
生後8 12週齢の雄C57BL/6J(野性型)、Fc受容体欠損マウス(FcRg-/-、FcgRIIB-/-)にカイニン酸12-15mg/kgを腹腔内投与し、けいれん反応と海馬神経細胞死(クレシルバイオレット、トルイジンブルー、Fluoro Jade B染色)を比較した。カイニン酸感受性とけいれん反応にはC57BL/6JとFc受容体欠損マウスで差がなかったが、Fc受容体欠損マウスでは海馬錐体細胞死が起りにくいことを示す結果が得られた。しかし、けいれんの強さと錐体細胞死が相関しなかったので、マウスでのカイニン酸腹腔内投与は興奮性神経細胞死のモデルとして不適当と判断した。 そこで、カイニン酸1.5nmoleを一側海馬に局所注入し、24時間〜1週間後に海馬神経細胞死を比較した。局所注入では、海馬の標的とした部位にカイニン酸が注入されたマウスでは72時間以降すべてのマウスでCA1、CA3の錐体細胞死がみられ、興奮性神経細胞死のモデルになりうると考えられた。C57BL/6JマウスとFcgRIIB-/-では、注入48時間後までに細胞死がみられた。これに対し、FcRg-/-マウスでは24時間後までに細胞死が起り、その程度も強かった。GFAP免疫染色でアストロサイトの形態をみるとC57BL/6Jマウス、Fc受容体欠損マウスとも錐体細胞死に一致してアストロサイトの肥大とGFAP免疫反応の増強が起っていた。レクチン(GSLI-B4)染色、CD11b、MHC II免疫染色でミクログリアの形態を観察するとFc受容体欠損マウスでは生理食塩水注入コントロールでも活性化ミクログリアの形態を示していた。 以上から、Fc受容体欠損マウスではミクログリアの持続的活性化が起っており、これが興奮性錐体細胞死の起りやすさに関係することが示唆された。
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