2005 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリアの活性化と神経細胞死におけるFc受容体の役割
Project/Area Number |
16591140
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡本 基 岡山大学, 医学部, 教授 (80144757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 哲也 岡山大学, 医学部, 助教授 (90221754)
臼井 真一 岡山大学, 医学部, 助手 (50346417)
佐藤 妃映 岡山大学, 医学部, 助手 (70362960)
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Keywords | 興奮性神経細胞死 / マウス / ミクログリア / Fc受容体 / 遺伝子欠損 / カイニン酸 / 局所注入 / 海馬 |
Research Abstract |
生後8-12週齢の雄C57BL/6J(野性型)、Fc受容体欠損マウス(FcRg-/-、FcgRIIB-/-)の一側海馬CA1にカイニン酸(KA)1.5nmoleを局所注入し、24、48、72、120時間、1週間後にクレシルバイオレット染色で海馬錐体細胞死を比較した。 その結果、FcRg-/-、FcgRIIB-/-では、CA1、CA3とも24時間後の錐体細胞死が野性型に比べて軽かったが、48時間以後は差が無かった。レクチン(GSL I-B4)染色、抗CD11b(Mac-1)抗体、抗MHCII抗体によるミクログリアの染色では、FcgRIIB-/-では無処置、生理食塩水注入コントロールでも細胞体と突起が肥大したミクログリアが海馬全体に観察され、KA注入24、48時間後には野生型と比較して、明らかに活性化ミクログリアが多かった。Total RNAを用いたRT-PCRでは、野生型の海馬ではKA注入後にFcRg mRNAが出現し、24時間後にピークに達するのに対し、FcgRIIB-/-では生理食塩水注入コントロールでも弱い発現がみられ、KA注入16時間後にピークに達した。また、IL-6、IL-1βのmRNAの発現も野生型では24時間後にピークに達したのに対し、FcgRIIB-/-では16時間以内に起り、24時間後にはむしろ減少した。 以上から、FcgRIIB-/-では普段からミクログリアが活性化された状態にあり、興奮性刺激後のサイトカインの分泌増加も早期に起ると考えられた。逆に、FcRg-/-のミクログリアやサイトカインの反応は野生型と比べて明らかな差はなかった。また、胎児だけでなく、新生児の海馬からも初代混合神経細胞培養が可能なことを確認した。
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