2004 Fiscal Year Annual Research Report
シナプス前タンパクに注目した抗うつ薬の奏効機転メカニズムの解明
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16591162
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
山田 光彦 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・老人精神保健部, 部長 (60240040)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上島 国利 昭和大学, 医学部, 教授 (80051613)
大幡 久之 昭和大学, 薬学部, 助教授 (00119166)
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Keywords | うつ病 / 抗うつ薬 / プレシナプス / 開口放出 / タンパク |
Research Abstract |
これまで我々は、抗うつ薬の奏効機転に関与する機能分子を未知蛋白質も含めてスクリーニングするため、Differrential Display法によりラット脳内で発現量が特異的に変化する遺伝子を探索し、前頭葉皮質、視床下部、海馬より707種の抗うつ薬関連候補遺伝子を同定してきた(antidepressant related gene : ADRG#1-707)。さらに、これらを効率よく2次スクリーニングするため、ADRG遺伝子をスポットしたADRG microarrayを開発し解析を行った。その結果、抗うつ薬投与により多岐にわたる遺伝子の発現変化が認められた。それらの遺伝子の塩基配列を決定し相同性検索を行った結果、ADRG遺伝子の一部はプレシナプス小胞上に存在し神経伝達物質の開口放出に関与する既知の遺伝子群に属することが明らかなった。そこで本年度は、Western blot法を用いて、抗うつ薬投与によるプレシナプス小胞上に存在し神経伝達物質の開口放出に関与する個々のADRGのタンパクレベルでの発現変化を定量した。その結果、抗うつ薬(imipramine,sertraline)の単回投与ではこれら遺伝子群の発現変化は認められなかったものの、長期投与により有意な発現増加が認められた。この結果から、小胞上のタンパクは抗うつ薬の作用ターゲットであり奏効機転に関与することが示唆された。次に、抗うつ薬長期投与によるプレシナプス膜上のタンパクであるSNAP25、syntaxinの発現を検討したところ発現変化は認められなかった。一方、小胞マーカータンパクのsynaptophysin、secretograninの発現増加は有意に認められた。これらのことから、抗うつ薬投与により小胞数の増加が予想された。そこで、透過型電子顕微鏡を用いて実際にコントロール群及び抗うつ薬長期投与群ラットのプレシナプスの形態を観察した。その結果定量には至っていないが、抗うつ薬投与により小胞数の増加及びactive zoneの密度の増加が示された。
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Research Products
(3 results)