2005 Fiscal Year Annual Research Report
fMRIによるてんかん患者の記憶機能の優位半球側方性に関する研究
Project/Area Number |
16591171
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
地引 逸亀 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60110532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
利波 久雄 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70139773)
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Keywords | fMRI / てんかん / 記憶 / 優位半球 |
Research Abstract |
本研究の目的は、てんかんの外科的治療の術前評価における臨床応用を究極の目的として、てんかん患者における記憶機能にかかわる優位半球の側方性(memory lateralization)をfMRIを用いて同定し、正常者との違いを検討することである。平成16年度は正常者の例数を増やし、とくに左手利きにおける右半球優位の出現頻度を検討することと、部分てんかん患者の症例数を増やすことに重点を置いた。結局、言語性記憶の単語の再生過程においては帯状回などの内側前頭葉や中前頭葉、下前頭葉や中心前回の運動性言語領域が賦活され、正常者39例(右手利き30例、左手利き9例)では、右手利きで左側優位25例、右側優位なし、両側性(左右ほぼ同等の賦活)3例、賦活不良2例、左手利きで左側優位4例、右側優位3例、両側性1例、賦活不良1例であった。すなわち記憶機能に関しても言語機能と同様にその側方性は利き手と関係があり、左右どちらの利き手であっても左側優位が多いが、左手利きでは右側優位の出現頻度が右手利きに較べて高かった。一方、部分てんかん患者10例(側頭葉てんかん7例、前頭葉てんかん2例、未決定てんかん1例、右手利き9例、左手利き1例)については、右手利きでは焦点部位が左右どちらであっても左側優位で、左手利きで左側前頭葉焦点を有する1例でのみ右側優位であった(おそらくは利き手と関係すると思われた)。平成17年度は小児科とtie-upして5歳までにてんかんを初発した患者を紹介してもらい、そのような若年発症の患者では、幼児期のてんかん焦点形成のために神経可塑性変化として記憶機能にかかわる優位半球の側方性がてんかんの後発例や正常者と較べて異ならないか検討した。結果としてまだ3例(部分てんかん2例、未決定てんかん1例、全例が右手利き)のデータだけであるが、右手利きにもかかわらず右側優位が2例でみられ、その中の1例は左側焦点であった。この結果は若年発症のてんかん患者では、幼児期のてんかん焦点形成のために神経可塑性変化として記憶機能にかかわる優位半球の側方性が正常と異なる可能性があることを示唆する。
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Research Products
(3 results)