2006 Fiscal Year Annual Research Report
fMRIによるてんかん患者の記憶機能の優位半球側方性に関する研究
Project/Area Number |
16591171
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
地引 逸亀 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60110532)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
利波 久雄 金沢医科大学, 医学部, 教授 (70139773)
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Keywords | 機能的磁気共鳴画像 / 機能的マッピング / 記憶の側方性 / てんかん / 利き手 / 神経可塑性 |
Research Abstract |
<目的>記憶機能にかかわる脳部位や、その左右の大脳半球の優位な側方性の有無を探る目的で、f-MRIを用いて記憶の想起課題遂行時における脳内賦活部位の同定と、その左右差について検討した。本年度は特にてんかん患者、それも5歳までにてんかん発作を発症した症例について重点的に検討した。<対象と方法>対象は健常者39例(右手利き30例、左手利き9例)と、部分てんかん患者13例(側頭葉てんかん8例、前頭葉てんかん2例、未決定部分てんかん3例、右手利き12例、左手利き1例)である。言語性記憶の想起課題として先に記憶した単語を後で頭の中で想起するtask1と、頭の中で想起するだけでなく唇を動かして声を出さずに言うtask2、視覚性記憶課題として先に記憶した図形を後で頭の中で想起するtask3を設定した。また一部でこれらのf-MRIによる脳内賦活の再現性についても検討した。<結果>右手利きの健常者では言語性記憶の想起課題task1で、左側優位に上前頭回や前部帯状回の内側前頭葉、中前頭回、下前頭回が主に賦活され、構音運動が加わったtask2ではそれらに加えて、やはり左側優位に中心前回が主に賦活された。左手利きの健常者の言語性記憶課題における賦活部位も、上記の右手利きの健常者と同じ領野で、やはり左側優位を示すものが多かった。しかし、一部で右側優位がみられ、右手利きの健常者と比べて右側優位の出現率が有意に高かった。視覚性記憶の想起課題task3では両側後頭葉が賦活されたが、左右差は一定しなかった。これらの脳内賦活部位の再現性は良好であった。部分てんかん患者の言語性記憶の想起課題における脳内賦活部位も健常者と同様で、右手利きの患者ではてんかん焦点部位が左右どちらでも左側優位が多く、左手利きの左前頭葉焦点を有する1例ではおそらく利き手と関係して右側優位がみられた。ただし、5歳までにてんかん発作を発症した右手利きの4症例のうち、左の前頭葉と側頭葉にそれぞれてんかん焦点を有する2例では右側優位がみられ、おそらくこれは生後早期のてんかん焦点形成に対する一つの神経可塑性変化と思われた。<結論>言語性記憶の想起には上前頭回や前部帯状回の内側前頭葉、中前頭回、下前頭回が複雑に関与し、しかも利き手と関係して大脳半球の左右に関する優位な側方性が認められることが判明した。f-MRIは、てんかん外科治療におけるそのような記憶の側方性に関する術前評価の検査法として期待できると思われた。また本研究から、てんかん患者では生後早期のてんかん焦点形成に対する神経可塑性変化として、そのような記憶の側方性に変化が起こりうると思われた。
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Research Products
(1 results)