2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591175
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Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
大西 哲生 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, 研究員 (80373281)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 和男 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, 研究員 (10322695)
吉川 武男 独立行政法人理化学研究所, 分子精神科学研究チーム, チームリーダー (30249958)
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Keywords | IMPA2 / イノシトール / 双極性障害 / 統合失調症 / リチウム / モデル動物 / IMPA1 / イノシトール枯渇仮説 |
Research Abstract |
IMPA2遺伝子は、双極性障害、統合失調症、さらには熱性けいれんとの遺伝統計学的関連が示唆される遺伝子であるが、その機能は全く不明である。そこで本研究では、主に生化学的側面に焦点をあててIMPA2の機能に迫った。その結果、IMPA2はマウス全脳で発現するこや、細胞株では顕著な発現が認められるものとそうでないものがあることがわかった。mRNAの発現が認められるHeLa細胞において、内在性に発現するIMPA2タンパク質を世界ではじめて同定した。 IMPA2は、inositol monophosphatase活性を有し気分安定薬リチウムの標的と考えられているIMPA1遺伝子産物と高度な相同性を有している。このことから、IMPA2もリチウムに阻害されうるinositol monophosphatase活性を持っているのではないかと考え、組み替えタンパク質による酵素学的な検討を加えた。その結果、IMPA2は、inositol monophosphatase活性を有するものの、その活性はIMPA1と比較して極めて微弱なものであり、別の生理的基質が存在するのではないかと思われた。またIMPA2のもつinositol monophosphatase活性は、IMPA1より高いpHとマグネシウム濃度を要求する点でも、IMPA1との酵素学的違いが明白になった。さらには、通常の条件では、治療濃度のリチウムによる阻害効果は極めて限定的であった。 またIMPA1は細胞内でホモ二量体を形成することが知られるが、IMPA2も同様にホモ二量体を形成した。しかしながら、互いに高度な相同性を有するIMPA1とはヘテロ二量体を形成することはなかった。 本研究から、IMPA2は、IMPA1と極めて近縁の分子でありながら、細胞内では全く別の代謝経路に関与する特異なぶんしであると結論された。
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Research Products
(3 results)