2005 Fiscal Year Annual Research Report
損傷応答遺伝子阻害効果から予測する放射線感受性を付加した新しい放射線治療法の開発
Project/Area Number |
16591188
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
川田 哲也 千葉大学, 大学院・医学研究院, 講師 (60234077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊東 久夫 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20095574)
宇野 隆 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (30302540)
磯部 公一 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (80334184)
山本 正二 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (40302567)
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Keywords | 染色体変異 / FISH / 毛細血管拡張性運動失調症 / 放射線感受性テスト |
Research Abstract |
悪性腫瘍に対する放射線治療は、臓器の機能および形態の保持が可能なことから根治的治療方法としてその役割、適応範囲が増大している。現状の治療線量は経験に基づく画一的な治療方法がとられている。しかし、腫瘍および正常組織の放射線感受性を治療前に予測できれば、個々の患者に応じて線量を増減することができ治療成績改善と副作用軽減につながると期待される。そのためには、放射線感受性を決定する損傷修復のメカニズムを解明する必要がある。ATM geneは、放射線によるDNA損傷に最初に反応するとされる遺伝子とされ、その働きはカフェインにより阻害されることが知られている。本研究では、ATM阻害剤であるカフェインの阻害効果が細胞により異なるかどうかを検討するためFISH(Fluorescence in situ hybridization)法を用いて染色体異常を解析する。カフェインにより誘発される誤修復が細胞により著しく異なれば、カフェインのATM活性阻害作用を利用した簡便な放射線感受性テストを開発できる可能性がある。本研究は、ATM活性阻害剤による簡便な放射線感受性テストを開発し、患者個々の放射線修復能に応じて線量を決定する新しい放射線療法の開発を目的とする。昨年度の実験項目1および2で得られた生存率と染色体異常の相関関係を評価した。これまで多くの研究者により、染色体異常は細胞の生存率をよく反映することが示されている。そこで、3種類の染色体プローブを用いるFISH法で検出された染色体異常と、照射による生存率からどのような染色体異常が生存率に影響を与えるのか、また、カフェインは、どのような染色体異常を引き起こし、それがどのように細胞生存に影響を与えるのかを検討した。ATM遺伝子変異がある細胞は、生存率に比べて染色体の変異が有意に多く、誤修復が極めて盛んに起こっていることが明らかになった。ATM遺伝子変異のあるマウスを用いた実験では、カフェインの作用による異常な染色体異常の出現は認めず、カフェインは生存率の修飾効果も不明瞭であった。
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Research Products
(2 results)