2004 Fiscal Year Annual Research Report
ラインスキャン拡散強調像を用いた脊椎症における脊髄内水拡散信号の変化と病態の相関
Project/Area Number |
16591226
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
今井 裕 東海大学, 医学部, 教授 (70138113)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳町 徳春 東海大学, 医学部, 講師 (70230274)
遠藤 じゅん 東海大学, 医学部, 講師 (60297223)
持田 譲治 東海大学, 医学部, 教授 (50174347)
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Keywords | 脊椎症 / MRI(磁気共鳴画像) / 拡散強調画像 / 早期診断 |
Research Abstract |
本年度(〜平成17年3月31日)の研究実績 1.現在まで、正常脊髄、頚椎症250例850データの内、168例の該当症例について、T2-weighted image、拡散強調画像より得られるADC(Apparent Diffusion Coefficient)map、および、FA(Fractional Anisotropy)mapを分析した。データ分析は研究費にて購入したLinux computerに、ラインスキャン画像分析ソフトウエアー(Dr.Maier,ハーバード大学医学部放射線科より提供)を搭載し、これを用いて行った。その結果、正常脊髄では、加齢により脊髄内水拡散値であるADC値がわずかに上昇し、これに伴いFA値がわずかに低下する傾向を示した。Spearman rank correlationにて統計解析すると、その傾向は、ADC vs.年齢で0.096、FA vs.年齢で-0.220であった。また、正常頚髄ADC値の平均は0.87+/-0.07μm^2/msecであり、すでに報告されている値とほぼ一致する。その後、頚椎症例の頚髄内拡散値を計測した。全症例中、54%の強く圧迫されている、または脊柱管狭窄のあるレベルの脊髄内で、ADCの上昇およびFAの低下を認めた。拡散値の上昇/低下は症例内比較で、C2-3レベルの正常脊髄内の値に比べ、10%以上の変化があった場合に上昇/低下とした。これらの症例では、臨床的に脊髄症の症状を示す率が高く、半数以上で認めた。しかし臨床的に症状を示さない例にも、拡散値の明らかな変化が認められており、これらが前脊髄症病変の可能性があると考えられた。一方、拡散値の変化を認めない症例では、脊髄症症状を呈する症例はなかった。この結果から頚髄症に発展する前の初期に病態を拡散強調画像にて拡散値を計測することで知ることが可能であると言える。従って、拡散値の変化は、脊柱管開放術などの脊髄減圧(狭窄の解除)適応の指標となり、不可逆的脊髄内病変に伴う脊髄症を予防に役立つことが期待される。 2.来年度は、今年度の拡散値変化症例を追跡、拡散強調画像により拡散値(ADC/FA)を計測とT2-weighted imageの分析を同時に行う事で、拡散値の変化がやがて不可逆的脊髄内病変に発展するか否かについて検討する。 3.海外研究支援者(侭田、ハーバード大学医学部放射線科)は、本年度(平成16年5月)に東海大学医学部放射線科に出張し、研究計画におよび進行状況について打ち合せを行った。 4.東海大学医学部付属病院MRIスキャナーのアップグレードに伴い、ラインスキャンのアップグレードをDr.Maierの指示に従い、装置メーカー担当者を通じて行った。また、ラインスキャン画像分析ソフトもDr.Maierがアップグレードしたことにより、生データのみならずDICOMデータを直接、解析することが可能となり、研究効率は向上した。
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Research Products
(1 results)