2005 Fiscal Year Annual Research Report
温然トレーニングによるHSP 70の誘導と運動能力向上への挑戦
Project/Area Number |
16591233
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 要子 愛知医科大学, 医学部, 助教授 (60065597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相原 真理子 愛知医科大学, 医学部, 講師 (30184021)
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Keywords | 筋肉痛 / HSP70 / 予備加温 / 乳酸 / 筋硬度 / 筋疲労 |
Research Abstract |
我々は従来より、熱ストレスにより誘導されるHeat shock protein 70(HSP 70)の生体防御効果を検討し、予め加温(予備加温)してHSP 70を誘導させておくことにより、マウスの下肢筋疲労を防御できることを報告した。この結果は、加温により誘導されたHSP 70が疲労物質である乳酸の産生を遅延させ、細胞を疲労から守ることにより、運動能力が向上させ、温熱療法のマイルド加温がスポーツ界へ新しい科学を導く。 本年度は、日常よく経験される、突然の強度な運動によっておこる筋肉痛を予備加温により誘導されるHSP 70によって防御することを目的とした。 【実験方法】テスト1(筋肉痛実験):健康男子5人にエルゴメータで体力テストを測定後、腕立て伏せ100回、屈伸運動100回(途中で休息可)実施し、1,2,4,7日後に採血し、乳酸値、CPK活性、HSP70を測定した。また、12箇所の筋肉の硬度を筋硬度計で測定するとともに、筋肉痛の程度を5段階で自己評価させた。テスト2(予備加温後筋肉痛実験):予め筋肉痛実験2日前に遠赤外線加温装置にて全身を35分加温後、30分保温し、テスト1と同様の実験を実施した。 【結果】テスト1では、運動1日後の筋肉痛強度は3、2日後4.5、4日後3、7日後1で回復、予備加温したテスト2では2日後1.5、4日後には回復していた。血中乳酸値もテスト1で高値を示し、2日後有意に高値であった。予備加温によりCPK活性は著明に軽減され、筋硬度は上腕筋(運動直後)と腓腹筋(運動2日後)で有意に抑制された。 【結語・考察】予備加温により明らかに筋肉痛は防御され、殆ど被験者は痛みを感じなかった。筋肉の炎症を示すCPK活性も有意に抑制され、筋傷害を抑制した。強度な筋肉痛は、日常生活に(腕を上げる、階段を上る)支障を来すのみでなく、仕事にも大きな障害となる。この筋肉痛がマイルド加温で予防できることは殆ど知られていない。マイルド加温の普及により筋肉痛が無くスポーツが楽しめ、より健康に貢献できると思われる。
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Research Products
(7 results)