2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591258
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
村上 義昭 広島大学, 病院, 講師 (10263683)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
檜山 英三 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 教授 (00218744)
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Keywords | 膵島移植 / 肝再生 / 生着促進 / 増殖因子 / 膵島細胞肥大 |
Research Abstract |
【目的】膵島移植の生着率向上、1ドナー移植でのインスリン離脱を目指し、移植の場である肝の再生能力を利用して移植膵島の生着を促進し、移植効果をも促進できることをラット膵島移植モデルで実験的に検証し、臨床膵島移植への応用を模索した。 【方法】近交系F344ラットを膵島移植のドナー及びレシピエントに使用、Streptozotocin投与により糖尿病ラット(BS≧400mg/dl)を作製してレシピエントとした。同系(F344)のドナーラットから膵島を単離し、70%部分肝切除群(HxPIT)と非肝切除群(PIT1)にドナー1匹分(約200個)の単離膵島を、非肝切除群(PIT2)にはドナー2匹分(約400個)の膵島を経門脈的に肝内へ移植した。膵島移植後の機能評価は移植後4週間の随時血糖と体重増加率の推移、2,4週後の経静脈的糖負荷試験(IVGTT)、血中インスリン濃度測定(ELISA法)にて行い、肝内移植膵島の生着を免疫組織学的に評価した。 【結果】膵島移植後の随時血糖はHxPIT,PIT2群がPIT1群に比し有意に血糖値が低下し4週間持続した。この間の体重増加率はHxPIT,PIT2群がPIT1群に比し有意に高かった。IVGTTと血中インスリン濃度は移植2,4週後ともにHxPIT群がPIT1群に比し有意に良好なインスリン分泌能を認め、HxPIT群とPIT2群では有意差を認めなかった。肝の抗インスリン抗体による免疫染色ではHxPIT,PIT2群はPIT1群に比し良好な機能的生着を認めた。HxPIT群の移植膵島はPIT1,PIT2群に比し、個々の膵島が有意に大きく形態が維持されており、個々のインスリン分泌細胞(beta-cell)も有意に大きかった。 【結論】同系ラット膵島移植モデルでは、部分肝切除後の肝再生環境下に経門脈的に移植することにより、移植膵島の生着と移植後のインスリン分泌能の促進効果を認めた。移植効果は肝切除1ドナー移植が通常の2ドナー移植に匹敵するものであった。移植膵島の生着促進効果は、移植後急性期の膵島細胞(β細胞)の肥大増殖によるもので、肝再生に伴う増殖因子(HGFやVEGF)の関与が示唆された。臨床膵島移植への応用として、経皮経肝的門脈枝塞栓術にて肝再生を誘導して反対側再生肝への膵島移植が考えられたが、門脈圧亢進、完全閉塞の危険性を伴い、さらに、安全で低侵襲な方法を模索する必要がある。
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Research Products
(6 results)