2004 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌における分子標的薬剤に対する薬剤感受性の制御と個別化治療の展開
Project/Area Number |
16591282
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
藤井 輝彦 久留米大学, 医学部, 講師 (50199288)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 吾郎 久留米大学, 医学部, 助手 (00309808)
山口 美樹 久留米大学, 医学部, 助手 (70330834)
桑野 信彦 久留米大学, 医学部, 教授 (80037431)
|
Keywords | 乳癌 / YB-1 / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
YB-1は転写、DNA修復、細胞障害ストレス、薬剤耐性や細胞増殖と深くかかわっている(Kohno, Kuwano et al, BioEssays,25:691-698,2003)。特にYB-1の核内局在がABCトランスポーターのP糖蛋白質の発現と密接に関連することが乳癌をはじめ幾つかの固型腫瘍で報告され多大な注目をあつめている。そこで本研究で、乳癌の術前化学療法や再発治療に抵抗性を示す症例においてYB-1の核内発現がどのような役割をはたしているかを究明できれば、乳癌の個別化治療に貢献するだけではなく抗癌剤耐性克服の足がかりとなると確信する。そこで乳癌39例についてYB-1の免疫組織染色を行った。年齢は平均51歳(27-76歳)、閉経前が23例、閉経後16例であった。リンパ節転移は陰性14例、陽性25例であり、腫瘍径は2cm以下が11例、2cm以上が28例であった。YB-1はすべての症例で発現を認め、癌胞巣が一部陽性のものを(+)、癌細胞の50%以上陽性を(++)、癌細胞の90%以上陽性を(+++)とした。このうち(++)と(+++)の症例をYB-1陽性とした。YB-1発現とリンパ節転移の間には有意差は認めなかった(p=0.1748)。しかし、リンパ節転移陽性例ではYB-1が陽性である症例は76%と多い傾向が認められた。さらに、YB-1の染色部位を細胞質内のみの場合と、細胞質と核の両方に染色されている場合に分類すると、核に染色される症例では有意にリンパ節転移の頻度が高率であった(p=0.0337)ホルモンレセプターの発現状況や予後との相関は認められなかった。今後、MDRやMRPと化学療法の感受性の検討と分子標的治療に関する検討を進めていきたい。
|
Research Products
(1 results)