2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌における分子標的薬剤に対する薬剤感受性の制御と個別化治療の展開
Project/Area Number |
16591282
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
藤井 輝彦 久留米大学, 医学部, 講師 (50199288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 吾郎 久留米大学, 医学部, 助手 (00309808)
山口 美樹 久留米大学, 医学部, 助手 (70330834)
桑野 信彦 久留米大学, 医学部, 教授 (80037431)
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Keywords | 乳癌 / Cap43 / NDRG1 / ER / YB-1 / HER2 |
Research Abstract |
乳癌に関連する新しい分子標的を見出し、構造・機能ならびに発現などを明らかにして、特異性の高い分子標的治療を発展させる目的で、以下の2つの分子標的について検討を行なった。 1.転移抑制遺伝子であるCap43/NDRG1が乳癌において抗エストロゲン剤の効果を評価する分子標的となるか否かを検討した。8種類の乳癌培養細胞株においてCap43とestrogen receptor (ER)発現に逆相関の関係がみられた。ER陽性乳癌細胞株ではEstradiol (E2)投与によりCap43発現が抑制されたが、抗エストロゲン剤であるtamoxifen (TAM)を投与することによりCap43発現は再度増加した。ER陰性乳癌細胞株にER遺伝子を導入することにより、Cap43発現は抑制された。さらに、96例の乳癌症例において、ER蛋白発現とCap43蛋白発現は逆相関の関係にあった(p=0.0374)。以上より、乳癌においてCap43とERあるいはestrogenとの強い関係が示唆され乳癌に対する特異性の高い分子標的となることが示唆された。 2.YB-1(Y-ボックス結合タンパク-1)は乳癌においてがん悪性形質である耐性獲得や増殖の分子標的となりうるか否かを検討した。YB-1が核内移行している乳癌症例は、核内移行していない症例に比べて予後不良であった(p=0.0251)。YB-1の核内移行とHER2は正の相関を(P=0.0062)、ERとは負の相関を認めた(P=0.0369)。ホルモンレセプターとHER2発現は乳癌の術後補助療法を決定する重要な因子であり、YB-1発現がこの2つの因子と密接な関係があることより、YB-1は乳癌に特異性を示す分子標的となりえることが示唆された。
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Research Products
(3 results)