2004 Fiscal Year Annual Research Report
消化器癌におけるセンチネルリンパ内皮細胞の分離、培養法の確立と生物学的特性の解析
Project/Area Number |
16591298
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
竹田 明彦 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (90312959)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 佳子 信州大学, 医学部・第一生理学, 講師 (10362112)
小沢 修太郎 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (50245221)
小山 勇 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60178390)
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Keywords | センチネルリンパ節 / リンパ内皮細胞 / 培養法 / 消化器癌 / センチネルリンパチャネル |
Research Abstract |
平成16年度の研究目標としては、消化器癌系統的リンパ節郭清可能症例における色素法による確実なリンパ管の採取および実体顕微鏡を用いたリンパ内皮細胞の安全かつ簡便な単離および安定した培養系への移行に関する手技の定着を設定して研究を開始した。 (1)臨床検体からのリンパ内皮細胞の直接的な分離および培養法の確立 信州大学生理学教室の河合佳子助手のマイクロサージェリーに関する手技の実演指導により、術中に確実にリンパ管を採取し、実体顕微鏡を用いてリンパ管周辺の脂肪組織などを丁寧に剥離し、Collagenase II灌流法によりリンパ内皮細胞を安全かつ簡便に単離し、安定した培養系に移行させることはほぼ過不足なく遂行可能になった。 (2)免疫組織学的手法によるリンパ内皮細胞の確認 上記の方法にもとづき、本手法により分離されてくる内皮細胞の同定を行い、線維芽細胞、血管由来の平滑筋細胞、血管由来の内皮細胞などとの鑑別のためにリンパ内皮細胞に特異的な表面マーカーであるVRGFR-3の発現を確認した。最近これらのマーカーと腫瘍の増殖、転移との関連性か注目されており、本研究で分離された培養ヒトリンパ内皮細胞が実際にこれらのマーカーを所有するかどうかの確認をすることは、リンパ管新生におけるリンパ内皮細胞増殖機構を明らかにするという点においても、腫瘍のリンパ行性転移の機序を解明する上でもきわめて重要なことであると考えられる。 今後の課題として、これらのリンパ内皮細胞の生物学的な活性の個体差による相違や臨床病理学的な所見との対比などを行い、センチネルリンパ内皮細胞のもつ機能解析や臨床応用への発展性をさぐることを目標として研究を続行する予定である。またリンパ内皮細胞は低酸素下での増殖がより効果的なことが指摘されており、hypoxic chamberを用いた培養環境によるリンパ内皮細胞の特性についても研究を進めて行きたい。
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