2004 Fiscal Year Annual Research Report
消化器腫瘍の悪性化に関与するp27/Skp2経路の解析と標的遺伝子の同定
Project/Area Number |
16591308
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
神谷 欣志 国立大学法人浜松医科大学, 医学部附属病院, 助手 (20324361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今野 弘之 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 教授 (00138033)
北川 恭子 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 助手 (20299605)
北川 雅敏 国立大学法人浜松医科大学, 医学部, 教授 (50294971)
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Keywords | 消化器癌 / Skp2 / p27 |
Research Abstract |
我々はこれまでにヒト大腸癌細胞株を親株としてp27発現低下細胞株HCT-p27hKOおよびSkp2定常的高発現株HCT-Skp2を樹立し、それらが獲得した形質をin vitroおよびin vivoレベルで解析してきた。HCT-p27hKOおよびHCT-Skp2はともに通常培養条件下では細胞増殖速度に親株とは有意差が認められなかったが、ヌードマウスへの皮下移植実験ではHCT-Skp2のみが成長速度の速い大きな癌腫を形成した。この結果からサイズの大きな腫瘍形成にはSkp2の下流シグナルのうちp27を介さない経路でのシグナル変動が影響したと考えられ、また、その変動は細胞培養条件下では存在しない移植先の細胞外環境から得られた因子が協調することによって獲得されたものと思われる。そこでヌードマウスに形成された腫瘍を検討対象としてマイクロアレイで発現の変動している因子を同定し、さらに腫瘍におけるその因子の機能を病理学的および生化学的手法によって明らかにすることで、動物個体レベルで癌が接着、増殖、浸潤という過程を経る際にどのようなイベントが癌細胞内あるいは癌細胞を支持する周辺の宿主組織で発生することが重要なのかを検討している。これまでにこのアプローチによってSkp2発現亢進に伴って発現変動する複数の候補因子を同定している。このうち、候補A, B, Cについてはすでに解析を進めている。Aは細胞周期の進行を負に制御する転写調節因子であり、腫瘍抑制的に遺伝子発現の制御をしている。BとCはともに腫瘍抑制因子である転写因子TF-Xによって発現誘導されることが報告されている。Skp2とこれらの遺伝子の相互作用を解析することは悪性形質獲得のメカニズムを解明する上で非常に重要であると考える。今後は、ヒト胃癌、大腸癌の臨床検体を対象としてp27/Skp2、およびSkp2標的候補遺伝子群の発現レベルを解析するとともに予後等の臨床所見との相関を検討し、実際にヒトに発症する癌においても悪性化に関与しているかどうか検討し、さらに診断マーカーおよび分子標的治療のターゲットとしての有用性の評価を行う予定である。
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Research Products
(11 results)