2005 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患の病態への顆粒球コロニー刺激因子関与の定量的調査と新しい治療薬の開発
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16591320
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
速水 啓介 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 講師 (50363049)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / クローン病 / 潰瘍性大腸炎 / G-CSF / IL-10 / IL-12 / 融合蛋白 |
Research Abstract |
細胞性免疫の過剰反応の結果としての壁肥厚と内腔狭窄を病態とするクローン病(CD)の動物実験モデルとして、SDラットを用いたTNBS注腸誘導性大腸炎が既に確立されている。我々はSDラットを含む異なる5系統の間でこのモデルにおいて誘発される慢性大腸炎のタイプが異なり、Th1免疫過剰に基づくCDタイプと粘膜への好中球浸潤が遷延するタイプに病理学的に明瞭に分類されることを確認した。後者は潰瘍性大腸炎(UC)の臨床例の病理像に類似していることから、組織中のサイトカイン発現パターンを解析したところ、CDタイプを示すラット系統(SD,DA)では組織中のIFN-gammaの転写および蛋白レベルが高く、逆にUCタイプの系統(F344,Lewis,BN)ではTNF-alpha、MIP-2、iNOSの発現レベルが亢進していた。また、これら2群間では脾細胞および末梢血単核細胞のG-CSF産生性が有意に異なっており、CDタイプで低値を、UCタイプで高値を示した。IL-12は逆の傾向を示したが有意差は認められなかった。リコンビナントG-CSFの前投与によりCDタイプの発症が抑制され生存率と体重減少の改善がみられた。危惧されたUCタイプでの増悪はみられず組織中のTNF-alphaレベルは改善傾向にあった。これはリコンビナントG-CSFによって誘導された組織IL-10レベルと相関していた。以上の動物実験結果から、Th1リンパ球と好中球の間の免疫バランスという概念が示唆され、サイトカインとしてG-CSFの深い関与が想定される。 治療薬開発を目的として、GCSF-IL10融合蛋白を遺伝子工学的にデザインし蛋白合成した。in vitro実験の一部を行い得たが、LPS刺激白血球のIL12分泌能を指標とした免疫抑制能から判定した場合、等モルでの比較では、融合蛋白はGCSFよりも強力でIL10と同程度の免疫抑制能を示した。
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Research Products
(1 results)