2004 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞癌に対する肝移植療法の基礎的実験:分子標的治療を応用した肝癌再発抑制の研究
Project/Area Number |
16591321
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
田代 裕尊 広島大学, 病院, 助手 (90359894)
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Keywords | ラット肝細胞癌 / ラット肝移植 / FK506 / Rock阻害剤 / migration |
Research Abstract |
ラット肝細胞癌株(使用腫瘍株:Morris hepatoma)をラット肝臓に移植することによって、自然経過で肺転移を来たし死亡するモデルを確立した。このラット肝細胞癌モデルに対して肝移植を行い、術後FK506を1週間皮下投与すると、肝移植を行わない自然経過群と同様に肺転移をきたして死亡することが確認された。これにより、ラット肝細胞癌に対する肝移植モデルの確立ができたといえる。このラット肝細胞癌肝移植モデルに対し、全例FK506を1週間皮下投与し、Rock阻害剤投与群、非投与群に分け、生存日数及び死亡時に転移巣を確認し転移数をカウントした。その結果、FK単独投与群に比べRock阻害剤投与群で生存日数の有意な延長を認めた。FK単独投与群で死亡時に転移を認めたのに対し、Rock阻害剤投与群では転移も認めていない。この結果により、肝細胞癌に対する肝移植においてRock阻害剤が肝癌再発を抑制しうることをin vivoにおいて証明できたといえる。 Cell migration assayによる癌浸潤能の解析においては、Morris、NIH3T3細胞を使用した。Rho kinase (Rock)のリガンドであるLPA投与によりこれらの細胞のmigration能が亢進し、さらにRock阻害剤投与によりLPA投与で亢進したmigration能が抑制された。サイクロスポリン、FK506などの免疫抑制剤投与により、これらの細胞のmigration能がLPA同様に濃度依存性に亢進することが認められた。また、免疫抑制剤投与によって亢進したmigration能は、Rock阻害剤投与で抑制が認められた。この結果により、免疫抑制剤が癌細胞のmigration能を亢進すること、さらにその亢進したmigration能がRock阻害剤投与により抑制されることを証明できたといえる。
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