2005 Fiscal Year Annual Research Report
低重力組織培養法を応用した癌特異的抗癌剤感受性試験の開発
Project/Area Number |
16591325
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
能城 浩和 九州大学, 大学院・医学研究院, 共同研究員 (90301340)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 雅史 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (30372741)
片野 光男 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (10145203)
小島 雅之 九州大学, 大学病院, 助手 (90380394)
田中 雅夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (30163570)
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70108710)
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Keywords | 癌組織 / 組織感受性試験 / 癌特異的 / 低重力培養 / 腫瘍マーカー / 消化器癌 |
Research Abstract |
本研究の目的は、われわれが改良した低重力培養により癌組織培養を行うことで、酵素処理などの機械的操作を加えず抗癌剤感受性を実施することと、様々な組織から構成される癌組織において癌細胞に特異的な感受性試験を開発することである。 前年度は、22例の癌組織において感受性試験を実施し、11例において培養上清中の腫瘍マーカー測定が実施され、これら症例において、抗癌剤による腫瘍マーカーの減少と、腫瘍組織の抗癌剤感受性が有意の正の相関を示し、培養上清における腫瘍マーカー測定による感受性試験の可能性が確認された(Preclinica 2:1-8,2004)。 本年度は、当初の計画に基づいて、新たに9例の手術切除癌組織に対し、前年度と同様の解析を実施した。その結果、本年度の症例においても前年度同様の、培養上製中腫瘍マーカーの増減とパラフィン切片による病理学的抗癌剤感受性試験の強い正の相関が得られ、本試験の癌特異的組織抗癌剤感受性試験としての有用性が支持された。さらに、本年度の研究目標であった「感受性試験と臨床効果の解析」を実施した。今年度の免疫組織染色の詳細な検討の結果、5例において明らかなCEA産生腫瘍と、CA19-9産生腫瘍の混在が認められた。これら症例の内、本試験実施中に、明らかな再燃あるいは増悪を1例に認めた。この症例は術前、CEAおよびCA19-9増加を認めていた。手術後、両腫瘍マーカーともに低下したが、この症例におけるCEA産生腫瘍は5-FUに対し高感受性を示したが、CA19-9産生腫瘍は感受性が低かった。この症例には術後5-FU投与が実施されたが、再発時の腫瘍マーカーは術前とは異なり、CA19-9の明らかな上昇を示した。現在のところ、詳細な解析可能例はこの1例であるが、本症例は、研究計画における仮説と一致しており、本試験の癌特異的感受性試験に基づく抗癌剤選択の可能性を示唆している。
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