2005 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍溶解性ウイルスであるReovirusを用いた膵癌に対する治療の基礎的研究
Project/Area Number |
16591331
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
西園 晃 大分大学, 医学部, 教授 (70218155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北野 正剛 大分大学, 医学部, 教授 (90169871)
太田 正之 大分大学, 医学部, 講師 (80271104)
衛藤 剛 大分大学, 医学部, 助手 (00404369)
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Keywords | Reovirus / 膵癌 / 肝転移 / 腹膜播種 |
Research Abstract |
レオウイルスが活性化ras経路を伴う癌細胞内で特異的に増殖し細胞溶解を起こすことに着目し、ras変異が高頻度に認められる膵癌での抗腫瘍効果をin vitroで証明し、今回臨床でのレオウイルスの応用を視野に入れハムスターを用い膵癌肝転移に対するin vivoでの抗腫瘍効果を検討した。1.ハムスター膵癌細胞株(HPD1NR,HPD2NR,HaP-T1)に対してレオウイルスserotype 3は、強い殺細胞効果を認め、ウイルス濃度依存性にその効果が増強された。またレオウイルスを感染させた膵癌細胞株すべてにおいて特異的な蛋白質の発現を認めた。2.すべてのハムスター膵癌細胞株に活性化ras蛋白を認めた。3.ハムスター皮下移植モデルではウイルスの腫瘍内投与により有意に腫瘍縮小効果が認められた。さらに肝転移モデルに対するウイルス門脈内投与により有意に抗腫瘍効果が認められ、免疫組織染色にて腫瘍特異的にウイルス蛋白が認められ、正常臓器には認めなかった。 レオウイルスが膵癌の微少肝転移に対する術前化学療法として有用であるかをimmunocompetent modelを用い比較検討したところ有意に抗腫瘍効果を示した。皮下腫瘍モデルでウイルス腫瘍内投与にて非ウイルス投与側の腫瘍にも抗腫瘍効果を認めた。しかし非ウイルス投与側の腫瘍にウイルス蛋白の発現は認めずウイルスによって誘導された抗腫瘍免疫の影響が示唆された。以前我々はヌードマウスを用い同様の検討をしたが、非ウイルス投与側の腫瘍にウイルス蛋白発現を認めた。したがってimmunocompetent modelではウイルスに対する中和抗体の影響が考えられより効果的な抗腫瘍効果を得る為の検討が必要であると考えられたが、膵癌肝転移に対する新しい治療法の一つになる可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)